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物語【魔界の扉編】
eye to eye


オレ達は、入魔洞窟で裏男の腹の中に居た。
オレ達が手の出せない所で、幽助は仙水と一人で闘っている。

樹の言葉に合わせれば、二人の攻防を“見守っている”状況だ。

だが、黙って“見守る”程、生易しい状況ではなく、幽助の死が近付いている事が手に取る様に分かる。




「…どうせ死ぬなら闘って死ぬ。あいつとな。」

飛影が低い声で樹に告げる。


「…オレは四人のうち誰が欠けても嫌だ―…」

オレも続けた。


だが、樹が簡単に裏男から出してくれる訳も無い。



ふと、視線を感じて横を向く。

飛影だ。


―?

強い目線でオレに何かを伝えようとしている―…



“…お前は生きろ、蔵馬。俺は行く―…”


飛影の目線は確かにそう云った。


“…冗談じゃない。オレも行きます…”


これが伝わっているのか、成り立っているのか、解らなかったけれど。
目線だけの会話は続いた。


“…言う事を聞け、蔵馬。お前を死なせるのは俺の性に合わん。”

“…飛影、忘れたの?オレは意固地な狐ですよ…それに……”


少しだけ微笑んで続けた。


“…この間の貴方との事で、もう死んでもいいと思っているんです―…”


飛影は目を見開いた。
そして小さく笑った。


“…馬鹿が。つくづく救えん…”

“…お互い様、ですね…”


“…いいか。生きる事への執着だけは忘れるなよ―…”

“…勿論。貴方が生きているなら…ね―…”


やり取りを止め、数十秒だけ見詰め合った。


こんな非常事態でも、貴方の紅い瞳はとても綺麗だと思った。

貴方の瞳を心に灼き付ける。
死に逝く時、貴方の瞳を思い出せる様に―…


そしてオレ達は同時に目線を幽助達へ戻した。


これはたった二分程のオレ達の会話―…
勿論目線だけだから、成り立っていたかどうかは解らないけれど…






★あとがき★
仙水さん樹さん等と衝突中の一コマです。
想い合ってる二人は短い時間ですが、目線だけで会話をしました。
幽助クンが死を目前に闘ってる中、少し不謹慎だと思われた方…ごめんなさい。
でも闘い中の二人の想い合いはここだけですので許してやって下さい。
題名はピンと来た方もいらっしゃるのではないかと…。
これも不快に感じられた方…申し訳有りません(泣)
でも敢えて使わせて頂きました。
お読み下さって有難うございました^^

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