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四日目
いつもどおり朝ごはんをクラトスと一緒に食べたあと、クラトスが「修行するが一緒に来るか?」って言った。
ひとりでいるのはさみしいし、何となく気になったからついて外に行った。

何の修行かなって思ってたら、剣の修行だった。
近くの岩に座ったり木の上に登ったりして見てたら、すぐそばを何かが通った。
野ねずみだ!と思ってダッシュで追いかけた。
びっくりしたような声で「ロイド!?」って聞こえたから「すぐ捕まえる!」って言って野ねずみを追いかけた。お腹ほどほど元気いっぱいだったから、当然あっさりと追いつめて捕まえた。

クラトスのとこに帰ってエモノを見せたら、ちょっとびっくりしたあと、なんかヘンな顔になった。
オレと目線を合わせるようにしゃがんで「ロイド、むやみに生き物を殺してはいけない」って言った。
オレはよく分からなくてきょとんとした。
クラトスはそのまま「そのねずみをとってどうするつもりだった?昨日のチョウもそうだが、理由もなく殺してはいけない」って言った。
よく考えてみれば、いつも食べるために捕まえてた。虫も小さな動物も、オレにとっては生きるために必要な食べ物だった。
でも今はクラトスがいる。クラトスがちゃんと用意してくれる。だからこの野ねずみは殺さなくていいはずだった。
オレはしゅんとして、動かない野ねずみを少しなでた。それで生き返るわけもないけど。
クラトスが「埋めてやろう」って言ったからうん、ってうなずいた。
家のうらに穴を掘って埋めて、目印にまるい石をのせた。「ごめんなさい」って言ったら、クラトスが後ろから頭をなでてくれた。

その日の昼からオレは剣の修行をすることになった。教えてくれるのは当然クラトスだ。
なんですることになったのかというと、クラトスが「剣が使えるようになれば、イノシシなどの大きな動物を捕まえることができるぞ」って言ったからだ。
大きな動物ならオレとクラトスのごはんになるし、何よりオレのしゅりょうほんのうが満たされていいらしい。しゅりょうほんのうって何だろ?
とりあえず、イノシシなんかをとってきたらクラトスはよろこんでくれるみたいだし、これまで大きな動物は捕まえられなかった(だってオレの武器は、ふだんは引っ込んでるキバと爪だ)からオレはワクワクだ。だから張りきって竹でできた剣で修行した。
次の日に手とうでが痛くなってちょっと困った。


†††

この日は朝食の後、いつもの稽古とは違い少々本格的な修行をしようと思っていた。定期的にしっかりと体を動かさなければすぐにでもなまってしまう(私も年ということか…)。
昨日の事もありロイドを誘うと不思議そうな顔をしてついてきた。

剣を振るっている最中、ロイドは岩の上や木の上から私を見ていた。が、突然何かを見つけたようにロイドは駆け出した。
私の制止も聞かず「すぐ捕まえる!」と言ってあっという間に視界から消えていった。
おそらく小動物でも見つけたのだろう。それがロイドの狩猟本能を刺激してしまったようだ。

しばらくしてロイドは捕まえた獲物を私の元へ持ってきた。その手にはすでに事切れた小さな野ねずみ。
私はロイドと視線が合うように屈み、無闇に生き物を殺してはいけないと諭すように言った。しかしロイドはよくわからないといった様子で目を丸くした。
理解しやすいように「そのねずみをとってどうするつもりだった?昨日の蝶もそうだが、理由もなく殺してはいけない」と言えば、少しの沈黙の後耳と尻尾が一気に垂れた。
どうやら理解してくれたようだ。
申し訳なさそうに野ねずみを撫でるロイドを見て「埋めてやろう」と言うとロイドは頷いた。埋め終わった後ロイドは野ねずみに向かって「ごめんなさい」と言った。本当に素直で優しい子だと改めて思った。

その日から私はロイドに剣の稽古をつけてやることにした。今はまだ無理だがきちんと剣を使えるようになればイノシシ等大きな動物を狩ることが出来る。そうすれば私達の食料になるしロイドの狩猟本能も満たしてやることが出来る。
それに自分の身を守れるようになれば簡単な仕事なら一緒に連れて行ってやれる。ロイドに何日も寂しい思いをさせなくて済む。まあ、まだまだ先の話だが。
何せ今は竹刀を振るのに精一杯だ。それどころか次の日は筋肉痛で食器を持つのもぎこちなかった。筋トレもメニューに組み込まなくてはな…

しかし二刀流というのは私も扱ったことがなく本来の型から外れてしまうので稽古をつけるには少々難があるのだが…だがロイドが「強さ2倍!」と言い張る(そんな訳はないのだが理解してくれない)ので好きにさせようと思う。




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