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三日目
前の日の夜は(というか、今もだけど)クラトスにぎゅってされて眠って、朝オレが起きるまでそうしててくれた。うれしくてすりすりしたらちょっと笑ってくれた。
クラトスはあまり笑ったりしないから、表情がかわるとうれしくなる。怒った顔はコワいけど。
クラトスと朝ごはんを食べて(クラトスの作るごはんはオレの好物だ。トマトも出ないし)、ていっ!と抱きついたら、オレの頭をなでながらクラトスが言った。

「今日は少し出かけてくる。夕方には帰ってくるからいい子で待ってなさい」

オレはきょとんとした。だってクラトスと一緒にいれると思ってたから。
でもクラトスはさっさと出かける用意をして、昼ごはんは作っておいたから腹がすいたら食べなさいって言って出ていった。

オレはしょんぼりしてソファーで丸くなった。そのままドアをじーっと見てたけど、そのうちあきた。
いい天気だし、と思って外でひなたぼっこをすることに決めた。屋根の上はイマイチだったから近くの木の上に登った。
しばらくそこで寝て、気がついたらお日さまが上に来てたからごはんを食べに家へ戻った。
やっぱりクラトスはいなくて、しょんぼりと半分食べた(クラトスがいないと何でかお腹があまりすかない)。
そのあとは家のまわりを探検してみた。途中でちょうちょを見つけたから、しばらく追いかけて捕まえた。おどろかそうと思ってテーブルの上においといた。
動いてお腹がすいたからごはんの残りを食べて、ソファーで昼寝した。

ドアが開く音がして目が覚めた。
クラトスだ!と思って、ドアが開いたときにめいっぱい抱きついたら、いっぱい荷物が下に落ちてびっくりした。その荷物は全部オレのもので、生活するのにいるものを買いに行ってたらしい。
うれしくて、もう一回抱きついてすりすりしたら、クラトスは頭をなでてくれた。

でも家でひとりで待つのは今も好きじゃない。やっぱりクラトスいないとさみしいもんな!
あ、クラトスはテーブルにおいといたちょうちょにスゴくびっくりしてた。


†††


前日の夜はロイドを抱きしめて眠った(今もそうだが)。嫌がるかと思ったがそうでもなく、それどころか朝起きれば私に擦り寄ってくれた。信頼されているようで自然と笑みがこぼれる。

朝食の後片付けをしているとロイドが私に抱きついてきた。その愛らしい行動に微笑を隠さず頭を撫でた。
しかし今日は一緒にいてやれない。ロイドの生活用品を街まで買いに行かねばならないからだ。
本当はロイドも一緒に連れて行ければいいのだが、獣人とわかればいつどこで「そういった商売」の輩に狙われるかわからない。せめて自分の身を守れるくらいにならねばとてもではないが街まで連れて行くのには危険すぎた。
夕方には帰ると告げると一気に耳と尻尾が垂れてしまった。
かわいそうだが1日ガマンしてもらうしかなかった。

食器や衣料品を中心にできるだけ手早く済ませようと思ったが、気がついたら大量の荷物になってしまっていた。「ロイドが喜ぶかもしれない」そう思うと次から次へと手がでてしまう。困ったものだ。

大量の荷物を抱えながら家のドアを開けると同時にロイドが勢いよく抱きついてきた。思わず荷物を落としてしまいロイドを驚かせてしまった。
ロイドに「お前の為の物だ」と言えば嬉しそうな顔をしてまた抱きついてきた。
よほど寂しかったのかその後就寝するまで私から離れずにいた。

しかしテーブルに置かれた蝶にはさすがに驚いた。狩猟本能はどうしようもないが無駄に殺生するのはよくない。何かいい方法はないかと考えたが、この日は答えがでなかった。




二日目(後編) 四日目


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