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BirthDay 4
ロイドはゆっくりと母親に近づいて汲んできた水に花を活けた。しばらくの間風の流れる音が二人を包む。




「…最後って……」

思考と感情がついていかない。

「最後って…なんだよっ…!」

嫌な考えがロイドの頭をグチャグチャにしていく。気持ち悪い。
なぁ、あんたはずっとここにいるんだろ?何で最後だなんてワケのわかんないこと……


「近い内にこの星を離れてデリス・カーラーンへ行く」


――離れる?


「私の犯した罪はあまりにも大きい」


――だからって…


「クルシスの生き残りである以上、その罪は私自身で償わなくてはならない」


――あんたはもう十分苦しんだのにっ…!


気が付けばロイドの頬を涙が伝っていた。見られたくなくて慌てて腕で拭うが、泣いていると自覚してしまうと次から次へと溢れてきて止まらない。
クラトスは後ろからロイドを抱きしめる。出来るなら離したくない。離れたくない。しかしあの星をあのままにしておく訳にもいかない。

「すまない…ロイド…」

クラトスが抱き締める腕に力を込めるとロイドは体を返して更にしがみついた。
行かないで欲しい。ずっと側にいて欲しい。しかしそれを言葉にすることは出来ない。彼だって軽い気持ちでこの星を離れるなんて言った訳ではないと、悩んだ末導き出した答えなのだと、それがわかっているからその決心を揺るがすような言葉は言えない。
ただこうやってしがみついて泣いているだけなんて卑怯だと思いながらも、ロイドはクラトスの胸を涙で濡らす事しか出来なかった。




どの位の時間そうしていただろう。撫でられる優しい手にロイドは少しずつ落ち着きを取り戻していた。かと言って気持ちの整理がついた訳でも納得した訳でもない。それでも自分は見送るしか出来ないのだと言い聞かせ、わかった、としか言えなかった。


 


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