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ちびろい2

肩車から抱っこに変え(ドアの縁にロイドが頭をぶつけそうになった為だ)、二人は朝食を取るべくリビングへと向かった。
クラトスはロイドを椅子に座らせて朝食を作り始める。
そこでロイドは改めて自分が小さくなった事を実感させられた。
いつも座っている椅子は大きく、足も着かない。見下ろしていたハズのテーブルは目の前に木目が広がる。そして何より、料理をしている父親の背中がやけに広く、遠く感じるのだ。
どことなく寂しくなったロイドは、行儀が悪いと思いつつも椅子の上に立った。いつもの目線と近くなり少し安心する。

「こら、危ないぞ」

出来た朝食をテーブルに並べながら、クラトスは息子を注意する。行儀の悪さにではなく、落ちて怪我をする心配をする辺り、彼の親バカが垣間見える。

「だって…テーブル、高い…」

まさか寂しくなったとは言えず、ありきたりな(あながち間違いでもない)理由でロイドはごまかした。
それにクラトスは、ふむ、と一息つくと、ロイドを自分の膝に乗せて座った。

「どうだ?」

「おー!ちょうど!」

調度いい高さと側にある温もりに安心して、ロイドは顔を綻ばせる。

「フォークもでかいか……ん」

大人用のフォークでは食事はしにくいだろうと、クラトスは料理を小さく切ってロイドの口へと運ぶ。
食べさせてもらうという行為にいささか照れつつも、ロイドは嬉しそうに朝食を口にした。







「ひーまー…」

朝食を終えて一息ついていたが、あまりのやることの無さにロイドは時間を持て余していた。
洗濯をしようにも力と身長が足りない。
掃除も道具が大きすぎて無理。
頼みの細工も道具が手に合わず危険なだけ。
剣はもちろん論外だ。
小さいとこんなに不便なのかと、ロイドは溜め息をついた。

「随分と退屈そうだな」

洗濯物を干し終わったクラトスが苦笑しながらロイドに声をかける。

「だって、することねーもん…」

ロイドはソファーに寝転がり、明らかに退屈です、というのをアピールした。

「なー、ひまー」

「そう言われてもな…」

クラトスはロイドを膝に乗せて思案してみたが、これと言って思い付かない。
当のロイドは体を揺すったりクラトスに擦り付いたりして、少しでも退屈を紛らわそうとしている。

「…弁当を持って森にでも行くか?」

家の中にいるから余計に退屈なのだろうと、クラトスは出掛ける事を提案した。

「! いく!」

ロイドは瞳を輝かせて「はやく!はやく!」とせがむ。

「弁当を作るから、ロイドは敷物等を用意してくれるか?」

クラトスがそう言うと、ロイドは思いっ切りいい返事をして即行で2階へと上がって行った。
まるで遠足前の子どものようだと、クラトスは苦笑しつつも弁当作りを始める。
思えば、二人でゆっくり出掛けるなんてこと今までに無かった。
ほんの少し頬を緩ませながら、今日一日は思い切りロイドを甘やかせてやろうと、クラトスは弁当作りに力をいれるのだった。






「…ノイシュ、でかー…」

準備万端整え、二人は出発すべくノイシュの小屋に来た。
最初こそノイシュはロイドの姿に首を傾げたが、すぐに順応して顔をすり付けている。
が、力加減は急に変えられるものでもなく、ロイドはいささか強すぎる頬ずりによろめくハメになった。

「そろそろ行こうか」

この微笑ましい光景をずっと見ていたい程であったが、クラトスはロイドを抱き上げてノイシュにまたがる。
目指すは森の少し奥。開けた小川のある場所だ。

「ノイシュ!しゅっぱーつ!」

ロイドの掛け声にノイシュは「ワフッ」と返事をすると、軽快に歩き出した。




 


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