YGO短編
俺たちのハロウィン※ 2
※下ネタ注意
夏の暑さもすっかり消え去り、肌寒く感じることが多くなった。
リリーはベッドから起き上がり、着替え始める。
「今日は昨日の片付けしなきゃ。」
今日から新しい月が始まった。しかし、家のなかは昨日の名残がまだまだ残っている。
リビングに顔を出せば、南瓜が描かれた紙皿の仮面や、使えなくなったカーテンで作ったマントなどが目にとまり、昨日の楽しい思い出につい口元が緩んでしまう。
時間はまだ陽が顔を出す前。煩くならない程度に片付けを始めることにした。
「ふう…。」
途中、朝ごはんや子供たちの世話で一旦手を止めることもあったが、昼頃には何とか大体のものは片付け終わった。
「残るはこれね。」
リリーの目の前にあるのはクロウがお菓子を入れていた袋だった。
実はクロウが多めにお菓子を用意していたようで、まだ袋のなかにお菓子がいくつも残っているのだ。
取り出して冷蔵庫の中にでも保管しようと手を伸ばせば、ガサリと他のものとは違う音がした。
「何だろ…。」
袋から取り出して見ると、綺麗な包装がされた立方体のなにかだった。
触ってみると少し硬い。
お菓子と言われれば納得できないことはないが、他のお菓子はこんなに立派な包装はされていない。持ち主であるクロウに聞きたいところではあるが、本人は仕事中で不在だ。
どうにも開けなければわからない。もし生菓子であるならば早く冷蔵庫に入れておきたいし、とリリーは包装紙をとった。
「これって…。」
プラスチックで透明なケースから中のものが一目でわかった。
そこには白いディスクにマジックで“ファンタジック・ズー”と記されていた。
「私が見たいって言ってたこと、覚えてくれてたんだ…!」
以前街中で“ファンタジック・ズー”という映画のポスターをクロウといたときに見かけて以来、ずっと気になっていたのだ。
「すごいすごい!」
あとでクロウにお礼と勝手に開けてしまったことを謝ろう。
ディスクを自分の部屋に置いて、すぐに残りの片づけを始めた。
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