YGO短編
俺たちのハロウィン※ 3
※下ネタ注意
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陽が西へ歩みを始めた頃、俺はやっと休憩に入れた。
仕事中はマナーモードにしている携帯に連絡がないか、確認するために開くとメールが一件入っていた。
「リリーか。なんかあったか?」
すぐにメールを開くと、考えていたものとは全く違う内容だった。
“サプライズありがとう!
あと知らなかったとはいえ、勝手に開けちゃってごめんなさい。”
サプライズとあるが、全く自分には見に覚えがない。しかも“開ける”とはどういうことだろう。
疑問符ばかりで一向に答えがでない。
「おっと…いけね。」
そうこうしているうちに、あっと言う間に休憩時間の終わりが迫っていた。
返信出来なかったが急ぎの用では無さそうだ、と携帯をしまった。
「帰った時にでも聞けばいいよな。」
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全て片づけ終わったリリーは自室でDVDプレイヤーを起動させていた。
クロウが用意してくれたディスクを取り出し口に入れて、待つこと数十秒。
「ついに見れる…!!」
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「ただいまー。」
「「おかえりなさい、クロウ!」」
いつも一声をきっかけに、皆が一斉に玄関に集まる。
ただし、今日は少し違っていた。
「あれ、リリーは?」
いつもなら笑顔で迎えてくれる彼女がいない。
「あの子昼頃から自室に籠っちゃってて…。様子を見に行っても大丈夫って言うだけで全然顔見せやしないんだよ。」
心配だから見てきてやってくれるかい、とマーサが聞いたのでクロウは二つ返事で返し、早速彼女の部屋に向かう。
「リリー、…入っていいか?」
部屋の中から小さくどうぞ、と聞こえたので中に入る。
リリーはうずくまるようにベッドに座っていた。
ベッドの前の小さなテーブルにはDVDプレイヤーとディスクの入ったケースが置いてある。
「…どうしたんだ?」
声をかけるとリリーはぴくりと反応して、そろりと顔をあげた。目が合うと彼女の頬はみるみる赤みを増す。
「あ…の私、…クロウに謝らなきゃいけなくて……。」
「俺に?何を?」
そう聞くとリリーはあれ、と言ってディスクの入ったケースを指さした。ディスクには“ファンタジック・ズー”と手書きで記されいる。
このタイトルには見覚えがあった。
「これって、リリーが見たがってたヤツじゃねーか。」
「うん…。私もそう思って…クロウが用意してくれたんだと思って…見てみたんだけど…。」
「?…どういうことだ?」
いまいち状況が掴めない。
彼女は謝らなきゃいけないと言うが、そもそも俺はこのディスクに見覚えがない。
「そのな……と……おだったの…。」
「わりぃ、聞き取れなかった。」
「その中身、アダルトビデオだったの…。」
「はぁ!?」
「勝手に見ちゃってごめんなさい…。」
ちょっとまて。いくらなんでも身に覚えが無さすぎる。
そもそもこういうモノ、俺はもってねぇ!
ガキ共の物なわけねーし、そうなると誰か違う人間の私物…?
ふと、昨日の友人達のあの笑みが脳裏に過る。
そういえば、以前アイツらに“ファンタジック・ズー”のDVDを持ってないか聞いたことがあったな…。
「まさかアイツらの仕業じゃねぇだろうなっ!!」
「アイツら…?」
ポケットから携帯を出して、アドレス帳からアイツらのうちの一人に電話をかけた。
『おークロウ、思ったより気づくのが早かったな。』
まるでこちらが電話をするのを予想していたかのような反応に、クロウの疑惑は確信へと変わる。
「やっぱてめえらか!…くそっ!今からそっち行くから、他のやつらも呼んどけっ!」
『え?まぁ…いいけど。』
返事を聞いてから直ぐに携帯を閉じる。
リリーは状況が呑み込めていないようで、頭に疑問符を浮かべていた。
「リリー、わりぃけど今から一緒に着いてきてくれねーか。」
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