第一章
27 ひとつの終焉
それは、混沌の闇の中。
取り巻くものは、孤独と諦め。
そう、それだけだった。それだけでよかった。
なのに。
一筋の、光のような、影が。
「期待」という感情をちらつかす。
だから私はいつまでも、闇に呑まれることなく、こうして過ごせてこれた――。
ひとつの終焉
目を瞑ると、まるで何かに引っ張られるように、闇の奥へ奥へと沈んでいくような感じがした。
怖くなって目を開けようとするのに、まるで誰かが押さえつけているかのように、それは叶わなかった。
―――ああ、嫌な、嫌な予感がする。
それに応えるように、闇に染まった視界は、或る時を境に、薄明るく、やがて室内を照らす蝋燭の不気味とも思えるような明るさになる。
―――ここ、は・・・・。
そっか。
気持ちとは関係なしに、「この時」が、訪れたんだ――。
所詮は私も、なにかの歯車の一部にしか違いなくて。
たまたまその位置が、外れたらちょっと困るような、そんな場所だっただけで。
だから外れかけたそれを、こうして戻しに来たのですね。
――――――貴女は。
混沌からの目覚め。
それは、ずっとずっと心の奥へと封印していた、あまりにも不確かな、形のないもの。
形がないからこそ、目には見えないものに、大きな、大きな、影響を及ぼすことも容易い。
失くした記憶。忘れてしまった記憶。
それらが、待ち構えていたように、どっと押し寄せて。
桶から水が溢れ出して広がるように、私のなかに拭いきれないほど滲みていった。
・・・・・ようやく、束縛がなくなって目を開ければ。
貴方の、―――君の。
後姿が、心に焼き付いていて。
苦しさと嬉しさで、涙が止まらなかった。
蔵の影に隠れるようにして
泣いている「彼」を見つけたとき
どうしようもなく、――抱きしめたくなった。
一筋の、光のような、影が。
「期待」という感情をちらつかす。
ずっと、ずっと、あの時から。
君は私を、現実に繋ぎとめてくれていた。
あの時も、記憶を失ったあとも。
私を引っ張ってくれたのは、君だったなんて、言ったら君は笑うのかな。
ねぇ、―――。
どうしようもないくらい、今、君に会いたい。
長らくお待たせしてしまいすみませんでしたorz
12月は何かと忙しい時期で、なかなか進みませんでした・・・
今回は短いのですが、ひとつのターニングポイントとして大切な回になりました。
あともう少しで第一章なんとか完結できそうです。
しばし生ぬるく見守っていただければ嬉しいです・・・
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