Let’s仕事調査…?ランボver.

ドカーンという音が上の階から聞こえてきた。リボーンを見れば無表情で今あった音が何も聞こえていないみたいだった。でも、その音による揺れで天井から埃が堕ちてくる。


絶対にランボだと思う。きっと5歳のランボがまた来たんだろう。そして、ここにリボーンがいるってことはここに来るんじゃないかな?
だって、ランボは打倒リボーンの精神を掲げているから。でも、10年前はどうだったのか知らないけど…というか、10年前ってリボーンって1歳?どうやってランボのこと苛めてたんだろう…。


「なんだ?」


じっと見上げていたせいか、それに気付いたリボーンがわずかに視線をこちらに向ける。


[10ねんまえって1さい?]


「俺か?それがどうした?」


[どうやってらんぼをいじめたのかなっておもって]


立ち止まって、私の書いた言葉を読んだリボーンはボルサリーノのつばを少し下げた。それによって目元が隠れ口だけが見える。その口端がゆっくりとつり上がった。


「知りたいか?」


その言葉に知らない方がいいこともあるということを思い出し思いっきり首を横に振る。それを見てフッと笑うリボーンの表情はすごく優しくて戸惑いを覚えた。


「呪われた赤ん坊って言われてたんだぞ。俺達は」


のろわれた?


「だから、普通のガキとはちがった」


私から目をそらし、どこか遠くを見つめるリボーンは、なんだかそのままどこかへと言ってしまいそうで思わずズボンを掴む。


「ん?どうした?」


その場に膝をつき、目線を会わせてくれるリボーン。でも、なんだか胸のあたりがギュって縮まってしまって、それがなんなのかよくわからなかった。説明ができなくて、もどかしくなってリボーンの首に抱きつく。


「紫杏?」


リボーンの驚いたような声と、私を離そうとする手。それに抵抗するように首を横に振りリボーンの首にしがみつく。


「…大丈夫だぞ。俺はどこも痛くねえ」


ポンポン、と背中を叩かれる。その温もりが優しくて、そうやって私の言いたいことをくみ取ってくれるのが嬉しくて心が温かくなった。


と、そこにどこからともなくランボの笑い声が聞こえてきた。ついでに自作のランボの歌も。


「ガハハッ!リボーン!見つけたんだもんね!覚悟お!」


「よし、次の奴のところに行くぞ。紫杏」


リボーンは手榴弾片手に向かってくるランボなんて見向きもせずに私を立たせて再び手を握ると前へと歩き出した。そして向かってきたランボをその辺に転がっていた石のように蹴り飛ばす。


「グピャッ!」


妙な奇声をあげて壁に激突したランボは、その場で頭を抱えてうずくまりが・ま・んと涙目で言っている。でも、今まで経験してきた中でその言葉を口にしてちゃんと我慢できたためしがなかった気がする。


私は、リボーンの手をいったん放し、ランボに近寄った。


「うぅ〜…、紫杏?」


さっき執事さんにもらった飴を一つ差し出す。もともと、これはランボを泣きやませる用の飴なんだから大丈夫だろう。


「うぅ、ランボさんに?」


コクンと首を縦に振る。


「も、もらってやるもんね!」


明らかに目をキラキラさせながらその飴を奪うかのように私の手から取り去ったランボ。その素早さに呆れてしまう。
でも、とりあえず泣きやんだみたいだ。


と、そこでボフンという音を立てて目の前に煙がもくもくと上がった。


そして、煙が晴れればなぜか頭にたんこぶをつけたランボがいた。


「いたた…。おや?紫杏さんじゃないですか。お久しぶりです」


[ひさしぶり]


久しぶりに見たランボは相変わらずだった。


[たんこぶできてるよ]


「ああ、これは…。リボーンに」


「ハッ、さすが俺だな」


「リボーン!この恨み!」


リボーンを見つけた瞬間、ランボはポケットから何かを取り出すと頭に装着した。なんとそれは黄色いツノだった。牛柄のシャツに、角。完璧に牛だ…。


「電撃角(エレットゥリコ・コルナータ)!!」


バチバチッと音がすると、いきなりランボに向かって光が放たれた。その光は角に命中すると、角が電気を帯びたようにバチバチッと音を鳴らしている。ランボの近くに立っていたせいか、静電気のようなものが肌をピリピリと差す。不意に、頬に痛みが走った。


何が起こっているのかわからなくて、突っ立っていると、ランボは体制を低くして牛のようにリボーンに突っ込んでいってしまった。


リボーンはというと、レオンに手をやり、銃に変形させた。そして、ランボめがけて撃った。


と思ったら、出てきたのは弾ではなくておもちゃであるようなボクシングのグローブが飛び出していた。


「ふざけんな。紫杏の顔に傷ができたじゃねえか」


最後にかかと落としを華麗に決めたリボーン。そして、それが痛かったのか、その場で頭を抱えてしゃがみこむランボ。


「チッ。よりによって顔か。紫杏。こんな奴にかまってないで行くぞ」


リボーンは私の近くに来たかと思えば、私を抱き上げて、ゆっくりと廊下を歩いていく。それも、ランボの背中をご丁寧にも踏みつけながら。


背後からランボの泣き声がしたのは言うまでもない。


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