Let’s仕事調査!メイドver.

[にんむって、どんなことしてるの?]


全てはこの質問から始まった。




なんとなく気になっただけだった。気になって、そのまま聞いてみればリボーンは逡巡した後ニヒルな笑みを浮かべた。そして、徐に私を抱き上げたかと思うと、行くぞと言って部屋を出た。
もちろん、鞄は忘れずに。
鞄の中には、常備しているスケッチブックと筆箱、12色マジック。筆箱の中には鉛筆と鉛筆削り、あと色鉛筆が入っている。


それにしても何処に行くんだろう?とリボーンを見上げると、楽しそうなリボーンがいた。


「今から、仕事調査に行くぞ」


仕事調査?


「紫杏はメイドや執事がどんな仕事をしてるのか知らねえだろ」


その言葉にこくんと首を縦に振る。メイドさんはたまにおやつを運んでくれたりするから少しだけ知っているけど、執事の仕事は知らない。


「もう5歳だしな。社会見学だぞ」


社会見学…。その言葉の響きに、どこか複雑だった。だって、社会見学ってもう小学生の時に何度かしていたし、いまさら…と思ってしまった。メイドや執事の人たちの仕事を見に行ったことはないから良いんだけど…。


リボーンが私を抱えて向かった場所は、私がまだ行ったことのない場所だった。1階の奥の方にあるこの場所は、どうやらメイドや執事の方々の部屋がある場所らしい。
そして、リボーンは迷うことなくある一室をノックもせずに押し開いた。


中にいたのは、黒いワンピースに、襟は白いレースで創られ、腰には白いエプロンをつけている。これはここの女性の制服となっていて、いわゆるメイド服代わり。


リボーンが扉を開けた瞬間に、全員が条件反射のようにこちらを向いた。そしてそれぞれが目を見開くと急に持っていたものを机に叩きつけるように起き、立ち上がって一斉にお辞儀をした。


その状況に唖然としていると、リボーンはさも当然というように何にも動じることなく、イタリア語で何かを言った。
すると、一人のメイドさんが素早く出てきてお辞儀を一つした。


その人をひきつれて、とりあえず廊下に出ると、彼は私の方へ向き直った。


「紫杏。こいつが質問に答えてくれるぞ」


質問って…、どんな仕事をしてるんですか?とかってことかな?


[りぼーんはなにするの?]


「俺は、通訳だ」


さも当り前だというように言ってのけたリボーンに少しあっけにとられつつ、目の前にいるメイドさんへと視線を移す。
まあ、いい機会だし、聞いておけばいいか。


[どんなしごとをしてますか]


私がそれを書いてリボーンへ見せれば、それをイタリア語で彼女へ伝えた。それに対して彼女がイタリア語で答え、それをリボーンが日本語に変えて通訳してくれる。
ここの使用人たちは、ほとんどが日本語は喋れない。幹部の人たちは日本人が多いけど、仕事の都合上イタリア語を話す方がいいらしく、日本語は覚えられたらでいいとしているらしい。
ただし、英語と中国語は必須らしいけど。


「私たちメイドは、この屋敷の清掃および幹部の皆さまの身の回りのお世話をさせていただいております」


[みのまわりのせわって、きがえ?]


リボーンに瞳を向ければ、鼻で笑われた。


「それくらい一人でできなくてどうする」


まあそうなんだけど。と思いながらページをめくり、新しいページを出す。


[あさはなんじにおきてますか?]


「4時に起床します」


朝の4時…。早っ!!


[めいどさんたちってなんにんいるんですか?]


「メイド、執事を合わせまして、ヴァリアーの屋敷もいれますと総勢150名ほどになります]


150人って多いのかな?少ないのかな?でも、この屋敷ってそんなにたくさんの人たちがいたんだ…。あまり見たことがなかったし、お部屋のほうにはあまり来ないから全然知らなかった!


というか、バリアーのほうってどこ?どっかに結界でもはっているとかかな?


[ばりあー?]


「違うぞ紫杏。ヴァリアーだ。『う』に濁点だぞ」


[う゛ぁりあーってなに?]


「ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアー。まあ、どうせ会うことはないだいろうが、会ったら近付くんじゃねえぞ」


いや、顔も知らないから近づいてもわからないんじゃ…。と思ったけどそれは書かないでおいた。それに、会うことはないだろうって言うくらいだし、同じ屋敷には住んでないはず。それに、暗殺部隊って…。絶対に怖い人たちじゃん!


[おしごと、たいへんですか?]


それを聞いた途端、彼女は困ったような顔になった。そして、チラッとリボーンの方を見る。それを察してか、リボーンはイタリア語で何かを言うと、ためらっていた彼女はしぶしぶ口を開いた。


「大変ではありますが…」


そりゃそうだよね。4時に起きて、私たちより後に寝るんだよ?しかも、この広い屋敷を毎日掃除して洗濯だってして、幹部の人たちにお茶を出したりして…。


[いちばんたいへんなことは、なんですか?]


「壊された屋敷の修理、です」


壊された屋敷の修理って、そんな簡単に壊れるようなものじゃないよね?あ、でも、そういえばこの前、骸と雲雀さんが喧嘩をしてるところに遭遇しそうになって、隼人に連れ戻されたっけ。そのときに、隼人が修理にどれだけかかるとおもってんだって愚痴ってたっけなあ。


[ありがとうございました]


「なんだ。もういいのか?」


リボーンの問いに、コクンと首を縦に振る。それを見た彼は、彼女に2、3言何か言うと、私の手を引いて歩き始めた。


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