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プロローグ ◎


「オマエは我輩の人形ですヨ

その言葉になんの疑問も持たなかった。だってその時の俺は何も知らなかったから。俺という存在は妖怪みたいな奴を封印し殺すために産まれさせられた。愛されないで産まれてきた子供。それが俺だった。山奥に捨てられた俺を拾ったのは千年公だった。精神を弄られてAKUMAと何ら代わりのない千年公の殺戮人形になっていた。

「いつも我輩に忠誠を誓うのでス

人殺しすら俺は無表情でこなした。忠誠というより、ソイツの命令をこなすことがただ当たり前だっただけだ。今思うとあれがマインドコントロールなんだろう。けど、それ以外俺が生きる道はなかった。

「オマエに自由はありませんからネ

自由という意味がわからなかったが、その時自由にされても俺は親に捨てられたただの子供で死ぬしかなかった。だから、自由に興味を抱いたことはなかった。むしろ自由がないことがありがたかった。

「死ぬまで我輩に尽くすのデスカラ

見た目が20歳くらいまで育つと俺は成長しなくなった俺は老いで死ぬことはないのだと悟る。身体に封印された妖怪の影響だろう。人間からかけ離れた存在になってしまった俺を生かしてくれただけでその時感謝くらいはしていたから、俺はずっと千年公についていくつもりだった。

だけど、その時ある人の一言で俺は自我が目覚めた。


「オレの元に来い神月!!」


俺が人間としての自覚を持った瞬間だった。そうして俺は教団初の元帥により千年伯爵の操り人形から、イノセンスの適合者のエクソシストとして黒の教団に入ることになった。
当時の教団は設立されたばかりで、とても不安定な組織だった。俺は元帥のために、この戦争を終わらせるために戦いに参加した。その間たくさんのことがあった。沢山の仲間達の死。教団の惨い事件。酷い戦い。内部の仲間割れ。他にもたくさん色々と起こった。ずっと見てきた。だからこそ思う。俺はやっぱり欠けてると。感情の何処かが

───泣けないんだ、どうしても


なあ師匠。俺、やっぱあんたの事やあの人たちを見捨てやがった教団が嫌いだし、今でも好きにはなれない。けど、それ以上に俺は千年公を殺したい。だから俺はエクソシストであり続ける。
この命、尽き果てるまで。





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