宿命の戦いに
「よぉミクトラン、元気か?」
「!……生きていたかキリオ」
「悪かったな、生きてて。さてと、無駄話はいらねぇ……決着をつけようぜミクトラン」
俺は剣を抜き、ミクトランに向ける。全員が武器を構えた。
「良いだろう。ソーディアンマスターと天上王、どちらが強いか思い知らせてやろう!」
ミクトランがベルセリオスを取り出した瞬間に、俺とエミリオとスタンが飛び出した。
「ソーディアンベルセリオス!!起きやがれっ!!!」
「ハロルド!貴様はミクトランなどに精神を押し潰される魂か!!!」
刃がぶつかり合った時にエミリオと俺は叫んだ。
どうやらエミリオと考えは同じらしい。
ベルセリオスに投射されているのはカーレルではなく、ハロルドだ。あのハロルドなら、ソーディアンを使わずに神の眼を破壊する方法を知っている可能性がある。
つまりベルセリオスの主権をハロルドに戻そうと言うわけだ。
「無駄だ!もう元の人格は残っていない」
「んなもん、ハロルドの事知らねぇから言えるんだ!!ハロルドは、ハロはこんな馬鹿にずっと押し潰されるような奴じゃねぇ!ハロとハロルドの友人が言ってるんだ、間違いねぇ!!」
「アイツはこのまま朽ちるような奴ではないと信じている。仲間だからな」
『ハロルド!起きてください!!貴方はミクトランをこのまま野放しにする気ですか!?』
『おい起きろハロルド・ベルセリオス!!お前の意志はそんなものか!?』
『ハロルド!』
ソーディアン達も俺達の考えに乗ってくれるらしい。
ベルセリオスに呼び掛けながら、俺とエミリオとスタン、そしてウッドロウとダリスは前衛でミクトランを攻め続ける。後ろから晶術の援護射撃が来るが、ミクトランに簡単に避けられてしまう。エルレインもちゃんと手伝ってくれている。
これだけの大人数相手に互角の戦いをするミクトランはやはり強いと思う。だが、俺はだてにミクトランと当たるのが三回目な訳ではない。隙が出来るのがよく分かる。スタン達も仮にも一度ミクトランを倒しているので、傷は少ない。
だが、これは耐久戦になってしまっている。力尽きるのは、神の眼がない此方だと目に見えている。早く勝負をつけなければ負けるのは確実に此方だ。
ミクトランに飛ばされ一度エミリオと共に後ろに後退した。
「くそっ!!やっぱり駄目か!?」
「……違和感の正体が分かった!」
突然エミリオが声をあげた。
「は?」
「ハロルド、貴様ふざけている場合か?ミクトランに潰されたフリをするのよせ」
全員がバッとベルセリオスに目をやる。すると、鈍い黒光りを放っていたベルセリオスのコアが突然光だした。その光に反射的にミクトランがベルセリオスを手離した。その瞬間ベルセリオスのコアの光が綺麗な紫色に光った。
『あら、よく分かったわねリオン♪』
『『『「ハロルド!?」』』』
『はぁい♪お久し振りキリオ。元気だったかしら?』
「いや…まさか…でも……お前…………ハロの方、か?」
『ぐふふ、流石私のマスター♪』
「嘘だろ……だって……もう…会えないと……」
呆然としたままの俺の前にベルセリオスは来た。
『掴みなさいキリオ!』
「!……あぁ。ソーディアンベルセリオス!俺は汝を求める!我が名はキリオ・アキヤマ!」
ハロルドの剣をしまい、パシッとベルセリオスを掴んだ。一瞬だけ強く光り、ベルセリオスは俺の手によく馴染んでいた。
『さぁキリオ!前回のお返しと長年の決着つけるわよ〜♪』
「あぁ!行くぞベルセリオス!」
俺はソーディアンベルセリオスを構えた。
運命の再会
(エミリオはああ言ったけど)
(俺の違和感はまだ拭えていない)
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