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再び君達を裏切った

 


土砂降りの日の夜、神の眼奪還祝いの式典の最中だった。



「伝令ーーーッ!!」



急に響き渡った声に会場の全員が眼を向ける。ドライデン将軍が席を立つ。



「何ごとだ騒々しい!式典の最中だぞ!」

「き、緊急事態です将軍」

「早く……早くッしてくれ!」



後ろから新たに来た兵の聞き覚えのある声に僕は席を立った。顔を見てやはりと思ったが、怪我を見て驚く。



「誰か医者を呼んで来い!……ジョブスだな、何があった!?」

「あんたか……あの人を助けてやってくれっ!俺じゃ止められなかった!」

「おい、お前何があったんだ!?」



伝令を伝えに来た兵士をみる。



「つい先刻、飛行竜発着塔に賊が侵入、飛行竜・ルミナ・ドラコニスが強奪されました!」

「飛行竜…だとっ」



覚えのある状況にドクンと胸が高鳴る。初めて見た筈の光景だが、似たようなものを見たことがある。



「目撃者の証言によると…賊の正体は客員術士ジューダス!奪われた飛行竜はファンダリアとの国境に向かっているとのことです!」

「なっ!?」

『嘘でしょう!?』

「嘘だろっ!?本当にっ本当にキリオなのか!!!」

『何故アイツが!?』



スタンが急に立ち上がった。

キリオ。その名前にズキリと頭が痛む。



「間違いなくジューダスだった!俺だって勘違いだと思いたかった!!」

「なんでっ……何でだよキリオ!!」

『落ち着けスタンッ!!リオン、ミク……ヒューゴは何処にいる!?』



取り乱したスタンを一喝したディムロスが、此方に質問を投げ掛けてきた。

思考が止まっていたが、正気を取り戻す。



「式典には参加しないと、屋敷に居る筈だが」

『チッ……先に押さえておくべきだったな。リオンッ今すぐ屋敷に戻りヒューゴが居るかどうか確認してこいっ!スタン!ソーディアンマスターを全員集めに行くぞ!』

「あ……あぁ!」

『待ってくださいディムロス!何故、何故ヒューゴ様なんですか!?』



僕の疑問を言葉にしたシャル。
ディムロスはまるで解っているかのようにヒューゴの名前を出した。



『スタン状況が状況だ、話せっ!』

「ヒューゴさんは今、ソーディアン・ベルセリオスのコアに潜んでいる天上王ミクトランに乗っ取られてるんだ!」
『なっ!?ミクトランですって!?ディムロス!どうして黙っていたんですか!!』

『黙ってなどいない!シャルティエ、貴様がリオンの記憶と共に記憶喪失になっただけだろう!それにこの件に関して仕切っていたのはリオンだ!』

『え……』

「僕、だと……」

「詳しくはフィンレイさんに聞いてくれ!俺は皆を呼んでくる!」



スタンはすぐに会場から出ていった。

僕はただディムロスが言った台詞に狼狽するしかなかった。































「貴様はこれで良かったのか?」

「構わねぇよ。俺が望んでやった。だから、これからやることを黙認してくれ」



天上王としての姿を取り戻したミクトランが、部屋に入ってきた。

ヒューゴさんは屋敷に寝かせてきたので、彼が死ぬことはこれでない筈だ。



「……死ぬ気か」

「なるべく死なないようにはするつもりさ」

「ソーディアンマスター達の足止めなど誰でも出来る。辞めろ」

「やだね、スタン達と対峙するのは俺だ」

「何故死にたがる?」

「俺からすれば何故止めようとするか不思議すぎる」

「貴様は必要だからだ」



やけに折れてくれないミクトラン。つうか、少し優しいな。



「悪いな、この役目譲れない」

「…………そうか、好きにしろ」



部屋から出ていくミクトランの背中は寂しそうだった。





戻らない時間


(千年間も一人だったミクトランは、ただ自分を見てほしかっただけなのかもしれない)


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あきゅろす。
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