[携帯モード] [URL送信]
君達に黙って

 


「私の部下になる……だと?今まで散々私の邪魔をしてきてたのにか」

「…………手駒がいないお前には手が出るほど必要な筈だが」



スタンとリオンが任務に行ったのを確認し、マリアンが買い物に出ていったのを見届け、俺はミクトランの所に乗り込んだ。

エミリオが居なくなった今、俺が選ぶ道は決まってしまった。あの時エミリオが自分に任せろと言って、何をしていたか俺は全く知らなかった。俺が聞かなかったミスだ。

運命は遅かれ早かれあの時へ必ず来る。ならば、俺が犠牲になるのが一番だ。

しかし、今更ながら思うのは、エミリオとミクトランの邪魔を散々しまくったのだ。部下なんて了承しない気がする。



「……良いだろう」

「は?」

「その代わり貴様には部下を減らされた分動いて貰うぞ」

「い……良いのか?」

「自分からお願いしておいて何を言っている」

「簡単には了承しないと思っていたからな」

「リオンよりは貴様の方が扱いやすい。今から私の用事に付き合って貰うからな、来い」

「分かったミクトラン様」

「様はいらん。貴様が言うと気持ち悪い」

「悪かったな」



ミクトランの後ろを歩きながら、不思議と違和感を感じる。

ミクトランってこんなに雰囲気優しかったか?

考えるが、原因は分からないので思考を止める。怖い雰囲気ではないことに越したことはない。

しかし、バレたら絶対にスタンとディムロスとウッドロウに怒られそうだ。……気にするの止めよう、考えただけで怖い。特にウッドロウが。

物語が始まる前に最後に会ったとき、ウッドロウに呼び出されて言われた内容に固まった。



「好きだキリオ」

「…………は?」

「ずっと前から君のことが好きだった」

「ちょっ、は、や、な!?」

「もうリオン君に君を任せてはおけないと思ってね。君がリオン君を好きなのを承知で言う。私にホレさせてみせる。覚悟しておいて欲しい」




十分ドキッとしましたよウッドロウ。

正直嬉しかった。多分俺を励ますために言ってくれただろうし、何より嘘はなかったから。それでも、彼を想う俺は馬鹿だよな。
忘れられても、他の誰かと一緒に居ても、彼への思いは変わることがない。

ごめんなさい、ありがとう、ウッドロウ。

俺は歩みを進めた。





ミクトランの腹心


(この苦しい想いも、嬉しい想いも)
(聞いてくれたのは)
(いつでもあの二人だった)



NEXT

[*前へ][次へ#]

67/102ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!