再び仮面をつけた
「各班の隊長は状況確認をしてリオンに速やかに報告。その他は三人一組で民間人の救助及びモンスター討伐に回ってください!」
「ジューダス少し手を貸してくれ!」
スタンが大量のモンスターを相手にしており、俺はハロルド特製の剣を抜いて、スタンと背中合わせになる。
「背中は」
「任せた!」
俺とスタンは同時に逆方向に走る。モンスターを切り捨てながら、俺はスタン達より前に踏み出す。
「全員下がれ!来るぞ!」
スタンが叫び兵士が下がったのを確認する。
ハロルドの剣は俺の手にピッタリで、流石としか言いようがない。そして片手にも関わらず威力は、あの時の倍以上ある。
「塵も残さん!行くぞ!浄破滅焼闇!闇の炎に抱かれて消えろ!」
黒い炎がモンスターを焼き尽くした。
リオンは、記憶喪失後初めて俺の戦いを見ていた筈だ。多少唖然としてみている。
カチリと納刀する。後ろにいたスタンとハイタッチを交わす。
「流石ジューダス!」
「スタンも晶術使わずにかなり倒してるじゃないですか!」
「でもジューダスにばっかり晶術任せてごめんな。俺も早く再会したいな」
「もうすぐじゃないですか。きっと彼も待ってますよ」
確かにディムロスの火属性の晶術があれば大幅に時間は短縮されるだろう。
とりあえずスタンとモンスターを倒しながら町の中を見て回る。最近はリオンと居たくなくて、気を使って誘ってくれるスタンと一緒にいる。
「もう大丈夫そうだな」
「スタン……最近討伐任務増えてないですか?」
「確かに。神の眼が原因かな?」
「多分そうだと思います」
「……そういえばさ、何で仮面つけてるんだ?」
「何となくです」
リオンの所へ走って戻る。
彼を見ると泣きそうになるんだ。そんな顔今の彼には見せられない。
前方に兵士からの報告を受けているリオンを発見する。
「リオン!」
「!」
「こちら側のモンスターは一掃してきました。もう気配はありません」
「分かった」
リオンと分担して兵士からの報告を纏める。スタンは動き回る方がしょうに合うとかで、すぐに反対方向を見に行った。
見覚えのある兵士が話し掛けてきた。
「ジューダスさん、今度の鍛練来るんですよね!」
「はい、急がなければ行くつもりですよ」
「是非また剣術教えてくださいね!皆楽しみにしてましたよ」
「構いませんよ。ほら、まだ終わってませんから早く行きなさい」
「はい」
兵士を見送ると、リオンからの視線を猛烈に感じた。
「あの…リオン。何ですか?」
「お前は……随分兵士達と仲が良いんだな」
「たまに模擬戦や鍛練に混じっていたら、自然に知り合いが増えましてね」
「……」
「まだ何か?」
「いや……」
それっきり黙ったリオンに背を向け、俺はスタンが行った方向へ足を向けた。
俺の決意
(スタン達の努力のかいなく)
(あの日になっても)
(リオンが俺を思い出すことはなかった)
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