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君と幸せな時間を過ごして

 



「エミリオー」

「なんだ?」

「離し「嫌だ」即答!?」

「久し振りにゆっくり出来るんだ。キリオと一緒に居たい」

「ここでのエミリオデレ過ぎじゃない!?」

「嫌か?」

「…………そう言う訳じゃないけど」



段々声が小さくなる俺。なんか最近口喧嘩に勝てなくなってきた気がする。

今までの態度の違いなのか、素直に言われると照れて何も言えなくなる。

庭の木陰でエミリオの足の間に確保され、そのままエミリオは本を読んでいた。眼鏡をかけている俺のツボをついた格好のエミリオがドアップで、胸の鼓動が収まらない。

しかし、あくまでもエミリオはずっと本を読んでいる。非常に俺はつまらない。少しは構ってほしい。

ムスッとして顔を背けるとクスクスとエミリオが笑った。ようやく栞を挟んで本を置いた。その後、急に抱き締められて俺は真っ赤になる。



「今日は読書中によく話しかけてくるな」

「…………いつもは一人で本を読んでいるだろ」

「全く……構ってほしいのなら素直に言え。意地張っているとからかいたくなる」

「意地張ってませーん」

「ほぉ……」



急に耳にフッと息をかけられてビクッとなる俺。抗議しようと振り向こうとするが、今度は耳を舐められて怒る気力共々撃沈した。



「本当に耳弱いんだな」

「耳元で喋るなぁぁ…」

「……前にも言ったが男の前でそんな顔するな」

「誰のせいだと思ってるんだ!!」

「僕だな。というか、僕以外の前でそんな顔したら許さん」



顔を擦り寄せられ、更に顔が赤くなる俺。なんか絶対にエミリオに勝てない気がする。



「お前は日向のような香りがするな」

「そ、そうか?」

「落ち着く……」



ほのぼのとした空気が流れる。



「エミリオー」

「何だ?」

「何となく呼んでみた」

「キリオ」

「何だよ?」

「愛してる」

「最近エミリオがキャラ崩壊してるー!」

「崩壊などしていない。それだけ、キリオが僕に影響を与えてるんだ」

「信じられねぇ……最初の方散々無視されたからな」

「あの時はマリアンしか見ていなかったからな。キリオが乗っていた飛行竜が墜落した時の想いや、スタン達と旅をして変わった。大切にしたいものは沢山増えた。まぁ……あれで崩れたが」
「アハハ……俺だって最初から彼処で死ぬ気は無かった。一度ミクトランに挑んでコテンパンにやられてな。殺られそうな寸前で…………ヒューゴ様に助けられたんだよ」

「!」





打算だった。ミクトランの強さを見誤っていた。ミクトランの刃が振り下ろされる寸前だった。



『彼を殺すなっ!!!』



優しく強い言葉が響いた。その瞬間、ミクトランの刃は俺の身体の真横に突き刺さった。俺は咄嗟にミクトランと距離を取った。



「忌々しい……私の邪魔をするな!」

『ここで彼を殺したらお前は殺人罪になり動けなくなるぞ!彼は街や陛下に信頼され始めている。不利になってもいいのか?』

「!……まぁいい。きょうが冷めた。私が休む間好きにしろ」



スッとソーディアンベルセリオスが消える。ミクトラン……ヒューゴの雰囲気が一気に変わった。



「大丈夫だったか?」

「は…いっ……助か……りま…した、ヒュ…ゴ様」

「……すまない、私がソーディアンベルセリオスを取ったばかりにこんな目に合わせてしまって」

「気に…しないで……ください」

「治療しよう。このままでは危ない」

「ありがと……ございます」

「キリオさんだったね…もし良ければエミリオとルーティのことお願いしていいかね?……私の自我はもうそろそろ限界が来ているんだ」

「任せ……ろ…でも……諦め……ないで………ください、ね」

「ありがとう。そしてすまない」






「あの時、俺の治療をしてくれた優しいヒューゴ様は本物だったよ。エミリオとルーティの事を物凄く気にしてた。良い父親だよ、あの人は。羨ましいくらいにね」

「父さんが……」

「試行錯誤したけど、ヒューゴ様は助ける術が探せなかった。エミリオの次に助けてあげたかった人だったんだけどな……」

「ありがとうキリオ。助けようとしてくれたんだろう?」



ギュウと抱き締められた。暖かい鼓動に酷く安心する。



「今度は助けよう、父さんも。僕は可能性がある限り諦めるつもりはない」

「そう、だな!ところで、エミリオ」

「なんだ?」

「いい加減ツインテール外しt「駄目だ」

「何でだよ」

「僕がしていて欲しいと言っても駄目か?」

「分かった!分かったから!外さないから!!耳元で喋るなぁ……」



最近良いようにエミリオに遊ばれてる気がするのは気のせいか!?

そのまま耳元でエミリオは呟いた。



「キリオ愛してる」



グイッとエミリオの方に顎をひかれ、唇を塞がれた。





甘い時間



(キリオ。僕に隠してることあるな?)
(…………ない)
(手を捕まれて男に告白されていたな)
(何で知ってるの!?)
(僕が居ないときはスタン以外の他の男に一切近付くな)
(え、や……はいっ!!分かった!分かったからやめっ!!)
(後……消毒だ)
(ちょっ、エミリオ今まだ昼!)
(キリオが悪い)



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