(しゃれこうべで、髑髏…っと。) 「……ぅ゛」 隣で唸るのはコーヒー豆くらい黒い桑原。 ああ、ブラジル人だからだっけ?……ま、いっか。 『桑原』 「…あー?」 『漢字、分からないんでしょ?』 “おう”と桑原は頷く。 私は桑原の全く埋まっていない解答用紙を見る。伊達に15年も日本人やってるわけじゃない。このくらい朝飯前だ。 『桑原、後からフルーツジュースね』 「100%だろ?」 『交渉成立。』 私は笑い、左から順に先生には聞こえないような小声で、桑原には聞こえるように答えを言う。 これは国語の、まあ、漢字のプリントが出たときの私と桑原だけに成立する交渉。 私が答えを教えて、桑原はそのお礼に私へ100%のフルーツジュースを奢る。 『次、どくろ』 「おう」 今更ですけど、プリント見せた方が早くない? 国語の時間-ジャッカル- (国語は嫌いだけど国語の時間は好き。 だって、君の声がずっと聞けるから) |