g.short
どうしようもない (坂田)
なんだよ、それ。
最初に思ったのはそんだけ。
『おーい、夢乃ー。
いつまで狸寝入りしてんだ。屋根から落とすぞ』
『なによ。なんだ、銀時か。
起こさないでよ人が気持ちよく昼寝してんだから。銀時も寝たいんだったら、場所はいくらでもあるんだし、一緒に仲良く昼寝しようじゃないか。
ってことで、おやすみ』
『ちょっと待てぇぇ!
高杉が探してたぜ?行かなくていいの』
『また?
どーせいつものことでしょ。
無事か?怪我はないか?大丈夫か?って。戦いのたびにいちいち。
「俺が守る」とか。生憎あたしは守られるだけの女じゃありませんっつの』
『可愛くない女。
女だったらもっと「お嫁さんになりたいわ♪」とか言えねーの?』
『普通思うもん?』
『普通は、な。可愛い女はそう言うに決まってんだろ』
『そーゆーのが好み?』
『んー。まあなー。
こー温かい日によ、縁側で昼寝してっと、うるせーガキが庭で騒いでて、晩飯の準備する可愛い奥さんがいて。‥いーんじゃねーの?そーゆーのも』
『ふーん。地味ー』
『こんな世の中じゃなかったら、の話だけどな』
『‥‥‥。‥じゃあさ。
ずーっと先。こんな戦いもなくなって、平和で能天気な国になったらさ。
あたしが可愛い奥さんになって夕ご飯作ってあげるよ』
『「可愛い」って言葉の意味ちゃんとわかってますぅぅ!?』
『しっつれいだな。
あたしは40過ぎたら可愛くなるんだってば』
『無理だろ!
つか。ずいぶん遠すぎるだろ、それ!何年先の話だよ!?』
『そのくらいみとけばいいかと思って。
そのころまでにはこの国もどーにか決着ついてんでしょ。さすがに』
『40過ぎのおっさんとおばちゃんねぇ。すっごいシュール』
『まかしといて』
『意味わかんねえよ』
俺、覚えてたんだけど。
お前忘れてんの?
なにが『高杉んとこ行く』だよ。
40過ぎたら俺んとこ来るんじゃなかったのかよ。
それか、あれか?
40までにこの国どうにかするつもりとか、とりあえず高杉どうにかして、そしたら俺んとこ来るとか?
あんな屋根の上の会話なんて、冗談みてーな話だったってことか?
さんざ高杉にヘタレだヘタレだ言われたけど、マジでヘタレだったかもしんねーわ。
どーすっかな。
ヤケ酒飲むのもいいけど、
一生で一度くらいヘタレじゃねぇとこ見せんのもアリかな。
『迎えにきたぞ、俺の嫁』
まぁ今すぐじゃなくて‥‥40になったら、でいいか。
‥これだからヘタレとか言われんだよな。
‥‥‥‥くっそ。
マジでだせぇなぁ。
.
『独り台詞』とリンクしてる‥ような、してないような。
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