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最強ツンデレの敗北
ト.届かない言葉


「波の国に行ってきたんだ!」

「そう」

「教えてもらった手裏剣、結構役に立ったってばよ!」

「良かったわね」

「そんでそんで‥!」

「うずまきナルト。
良い?私は今、修行中なの」

「おい、そのうずまきナルトってフルネームで呼ぶの止めろよ!」

「何故?」

「なんかムカつくから!
バカにしてんだろ、オマエ」

「はいはい。ナルトくん。
だから、私は、今修行中だって言ってるでしょう?」

「それが?」

「修行の邪魔よ」

「ええー、少しくらい良いじゃんよ」

駄目。だとよ。
こいつってば本当ノリ悪ィ。

「だいたいよ、オマエ修行中って言いつつ何もしてねーじゃんか」

さっきオレが来た時もただ突っ立ってただけだし。

「‥‥‥そんなに私の修行を邪魔したいなら、付き合ってもらうわよ?」

う。こ‥こえー‥。目がこえー!

「ななな何に?」

「幻術」

「‥‥‥‥‥‥‥‥。」

幻術ってアレだろ?付き合うってかかってみるか?ってことだろ?

「い‥いや!遠慮しとくってばよ!オレってば用事あったんだっけ!んじゃ!」


こえーこえー!
あいつなら絶対冗談じゃなく幻術かけてきそうだ。
笑えねえ!

(ん?そういやなんでオレってばあいつんとこ行ったんだっけ?)

なんか用があったんだっけ?

結局いつも通りケンカして終わった気がするってばよ。


ま、いっか。

オレも早速修行すっかな!















修行場に一人立つユメの姿を確認した。

(すごいチャクラだな‥)

高密度に練り上げられた緻密なチャクラを感じる。

それがフッと散ったかと思うと、ユメはこちらに振り返った。その顔には苦笑が浮かんでいる。

「何なの、今度はネジ?」

「修行中悪かったな」

「‥そう素直に謝られちゃうと困るんだけど‥」

幻術か、と聞くと、ユメは曖昧に笑う。
まだまだ強くなるんだろう。
「強くなりたい!」とリーのように熱くならないけれど、ユメは静かに、だが着実に自分の忍道を進んでいく。
他人に気付かれないところで、一人。

完成までもう少しなんだけど。今日はもういいわ、とユメは帰り仕度を始めた。

「修行場所、変えようかしら」

「どこに?」

「誰にも見つからないところに」

「すまない」

「ネジじゃないわ。
だいたい、白眼のネジに見つからない場所なんてないでしょう」

「いや、場所を知っていても、お前の邪魔をしないことは出来たはすだ‥」

「今日は随分とネガティブね?」

「まぁ、たまには任務でミスもするさ」

「ネジがミス?珍しいわ」

「気負っていたんだ。
なにせ、中忍試験がもうすぐだからな」

「もうそんな時期か。
大丈夫よ、ネジなら」

「誰もが驚くほどあっさり合格したお前に言われてもな‥」

その私が言うんだから信じなさい、と笑われた。

「大丈夫よ、よっぽどのことがない限り。
ネジは冷静だもの」

「ユメ。
俺が合格したら‥」

「お祝い、しなくちゃね」

「いや、じゃなくて‥」

今日俺は。これを、言いに来たんだ。

「合格したら、お前に話したいことがある」

「合格したら?」

怪訝に思うのも仕方がない。

「ああ。それは俺にとって、話すべきか話さないべきか、わかりかねることだから、
合格したら、お前に話す。
そう決めた」

「‥ネジって、人生難しくし過ぎよね」

「まぁそう言うな」

お前の言う通りだ。
苦く思いながらも、自分のことながら他人事のように笑いが込み上げる。

「ネジ、任務帰りだったっけ?
私、たまには焼肉食べに行きたいわ」

「付き合ってやる」

「ネジに焼肉って凄く似合わない気がする」

「どういう意味だ」

「ふふふ。
‥‥‥‥ただ、ちょっとね。
誰にも邪魔されない修行場所を手に入れても、ネジには教えてあげてもいいかなって思っただけ」

「それは‥」

「ちょっとよ、ちょっと思っただけだからね。だって、誰にも見つけてもらえないなんて悲しいでしょ!」

俺は顔を緩ませつつも黙って黙々と前を向いて進むユメの後を追うだけ。
こういう時、ここで何か言っても笑っても、照れた彼女は食事の約束を放って逃げ出すかもしれない。
にやけるだけで止めておく。
恥ずかしいのか、こちらを向くことはないから、にやけるだけなら大丈夫。


「‥‥‥‥‥‥おかえり」

「ああ、ただいま」

そんな照れた顔を見せて欲しい。いつか‥ずっと先で良いから。


「‥あ、言い忘れた」

「何を?」

「おかえりって」


誰に?と聞いておけば良かったのか。


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あきゅろす。
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