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櫻井家の食卓
4


俺が了承すると、健は嬉しそうに身体をさらに密着させてきた。
懐いているというか、健ってちょっと犬っぽくて可愛いんだよな。なんか保智に似てるかも。

「じゃあ次の休みの日に……」
「……おい」

その時、背後から地を這うような低い声が聞こえてきた。振り返るとそこにいたのは……。

「あ、拓海」
「えっ!?ぎゃっ!」

俺の言葉に何故か健は真っ青になって、慌てて俺から離れた。でも次の瞬間には拓海に押し退けられて、椅子から転げ落ちてしまった。い、痛そう……。

手を差し出そうとしたけど、それは目の前に立った拓海に阻まれてしまう。

「……何でいるんだよ」

拓海は不機嫌そうに俺を見下ろしていた。ちょっ、そんなに睨まれたら恐いんですけど!

「えっと、今日は和兄も帰るの遅くなるらしいから久しぶりに……」
「こっち来い」
「わっ!?」

尋ねてきたのはそっちなのに、拓海は俺の言葉を最後まで聞かないで腕を引っ張った。

「ちょっ、拓海!」

俺が非難の声を上げても拓海はお構いなしだ。さすが俺様。
腕をつかんだまま拓海が向かったのは奥の部屋に続くドア。

目で勝さんに助けを求めたけど、苦笑して手を振られてしまった。は、薄情だ……!

「誰も入ってくんなよ」

拓海は唖然としているメンバーに鋭い視線を向けて、ドアを乱暴に開け放った。

「いってぇー、拓海の奴……」
「だからその辺にしとけって言ったんだよ」
「そういうことはもっと早く言って下さいよ勝さん!」

後ろでやっと起き上がった健と、勝さんの声が聞こえる。でも拓海に引きずられるようにして部屋に入った俺は二人の話を最後まで聞けなかった。

「あーあ、良い所だったのに」
「健って文弥にはマジなんだな」
「そうですよー、初めて文弥さんがここに来た時に一目惚れしましたから」
「他ではチャラチャラ遊んでるくせに」
「う、それは……てゆーか俺が始めに目ェ付けたんだから手ェ出さないで下さいよ」
「出さねぇよ。拓海にどやされる」
「……ですよねー」


***


奥の部屋はあんまり大きくないけど、ソファーやテレビ、雑誌の入った本棚とかがある。

……そして何故かベッドもある。
今は拓海がほとんど(主にセフレとあんなことやこんなことをするために)使っているらしい。全く……勝さんも良く許してるよなぁ。

「うわっ!」

ぼんやり部屋を見渡していると、いきなりソファーの上に放り投げられた。おい、人を物みたいに……!

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あきゅろす。
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