櫻井家の食卓 5 「何するんだよ!」 抗議の声を上げれば、まだ不機嫌そうにこっちを見下ろしてくる拓海。 「ここには来るなっていつも言ってンだろうが」 「たまには良いだろ。俺だって健や勝さんに会いたいし……何で怒ってるんだよ」 「……………」 拓海はさらに眉間に皺を寄せて黙り込んでしまった。いや、エスパーじゃないんだから口で言ってくれないと分からないって。 「拓海?」 「……変な奴に絡まれてねぇだろうな」 「え……」 ああ、なんだ。この辺りが物騒だから心配してくれてたのか。結構良いトコあるじゃん。 「大丈夫だって!カツアゲされるほどお金持ってないし、殴られそうになる前に逃げるから」 「っ、そういうこと言ってんじゃ……チッ、もういい」 拓海は舌打ちすると、ソファーに乗り上げてきて俺の身体を押さえ付けた……と思ったら急にシャツに手を掛けて脱がせようとするので、慌ててその手をつかむ。 「ちょっ、こらっ!何するんだ!」 「あ?アトつけられてねぇか確認するんだよ」 「はぁっ!?」 アトって……何言ってるんだコイツ。ここに来るまで誰とも会わなかったのに、そんなものあるわけないだろ。拓海じゃあるまいし。だいたい俺はどっからどう見ても男だぞ。 「健の馬鹿に触らせてただろうが」 「あれは引っ付いてただけ……!」 言い争いをしている間にも拓海の手は止まらない。させてたまるかと必死に抵抗する俺。だって、こんな所で脱げるわけないって! 「っ、嫌だ!やめろって……ひんっ!」 いきなり乳首を服越しに強く捻られて、身体がびくんと跳ねた。怯んだ隙に顎をつかまれて、顔を上に向けさせられる。 「選べよ。身体見られるのと、今すぐヤられるのとどっちが良い?」 乳首を摘んだまま、恐い顔をした拓海が顔を近付けてくる。いや、どっちも嫌なんですけど……。 返答しかねていると、もう一度強く捻られた。 「あぅっ!わ、分かった!分かったから離せって!」 「じゃあ自分で脱げよ」 「……っ」 何で自分からそんなことしなくちゃいけないんだよ……でも、ここで無理矢理抱かれるくらいなら……。 観念して、拓海を見ないようにしながら一気に上の服を脱いだ。 「……………」 うぅ、めっちゃ視線を感じる……というか、最近似たようなことがあったような気が……。 「……ふーん、前には付いてねぇみたいだな」 「当たり前…って、何で触る必要があるんだよ!見るだけだろ!」 [*前へ][次へ#] |