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櫻井家の食卓
7


フミヤさんだって、いつも不満ばっかり言ってるけど、本当に二人のことが大好きで、大切に思ってる。

それを肌で感じる度に、俺は胸が苦しくなるんだ。

カズヒロさんとタクミさんはフミヤさんの兄弟。大切なのは当たり前。それに、家族じゃなくてもフミヤさんは誰にでも優しい。

そんなフミヤさんが大好きなのに、どうしても独り占めしたくなる。

誰にでも優しくしないでほしい。笑顔を見せないでほしい。俺だけを見ていてほしい……。

「保智、どうしたんだ?お前まで元気ないぞ?」

ほら、すぐに心配そうに顔を覗き込んで、頭を撫でてくれる。

しばらくそうしてると、フミヤさんが腕を回して抱き付いてきた。えっ、ドキドキ……。

「あー、お前の毛ってサラサラで気持ち良いー」

……やっぱり、今は側にいられるだけで幸せなんだろうな。だって……。

「保智もデカくなったなー。家に来た時はすっごいちっちゃかったのに」

今この瞬間だけは、俺だけを見てもらえるから……。

俺はその心地良さに身を委ねた。


***


その夜。

「っぎゃあ───っ!」

本日三回目のフミヤさんの絶叫。場所はフミヤさんの部屋。

「なっ、何だよお前等!揃いも揃って何する気だ!?」

中では、カズヒロさんとタクミさんが意地の悪そうな笑みを浮かべて、フミヤさんにジリジリと迫っていた。真っ青になってベッドの隅へ逃げて、ガタガタと震えるフミヤさん。可愛い……じゃなくて、いったい何事?

「いや、この前俺とコイツのどっちが兄貴を喜ばせられるか勝負しようって話になって」
「はぁっ!?何だよそれ──」
「わざわざこんなことしなくても結果は見えてると思うけどな」
「いやしなくても良いから──」
「へェ、随分自信満々だな。余裕ぶっかましてっと足元すくわれんぜ?」
「それはこっちの台詞だ。まぁ、たまには趣向を変えてヤるのもいいだろ」
「それには同感。つーわけで兄貴」
「ひぃっ!?」

ベッドに乗り上げたタクミさんが、逃げるフミヤさんの手を捕らえて押さえ付けた。その隣ではカズヒロさんが怪しげな大人の玩具を持って不気味に笑っている。

「あっ、やっ、嫌だぁ───っ!」

……俺はというと、部屋の隅でフミヤさんの姿をじっくり観賞……いや、暖かく見守ることにした。


優しくて、暖かくて……時々ちょっとエッチで、とっても可愛いヒト。

これが、俺のご主人さま。


*End*

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あきゅろす。
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