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短編集・読み切り



 岡本がその気になってからは悪友達が果

てるのなど早かった。

 慣れた手つきで目の前の●棒を扱き、そ

れと同時に腰を揺する姿は風俗嬢のようだ。

 それぞれに限界が近かったらしく、短い

言葉を発して腰の動きを止める。

 岡本は放たれたものを吐き出すでもなく

体内に留めた。

 ズルリと●棒が抜かれても口や尻から白

濁した体液が流れることもない。

 制服や教室を汚した方があとあと面倒に

なるのは彼が一番よくわかっている。

 あくまで顔色一つ変えない岡本の下半身

は未だに静かなままだ。

 高取のものを口で奉仕しただけでそこを

はち切れんばかりに高ぶらせることなどま

るで嘘のようだ。

 彼に穿たれただけで長くはもたないこと

など、言ったところできっと悪友の誰も信

じないだろう。


 何故自分なのか、高取は今でも解らない。

 そもそも最初に悪友をけしかけたのは彼

だ。

 岡本が嫌がってもお構いなしでしたいよ

うにしかしてこなかったのも高取。

 回数でだけ言えば、高取自身よりつるん

でいる悪友たちの方がよっぽど岡本を犯し

ている。


 それなのに、何故。

 わからないから苛立つ。

 岡本の縋るような、懇願するようなあの

目が気に入らない。

 泣いて怯えて嫌がる彼が見たいだけだ。

 この手でそういう顔をさせてやりたいだ

け。

 優しさや憐憫などといった感情など抱い

たことはないというのに、何故こんなにも

岡本が彼に対して従順で居たがるのかわか

らない。


「…さっさとトイレ行ってこい。

 授業中にケツから漏らしたいんなら構わ

 ねーけど」


 高取の許しを待っていたように岡本は小

さく頷くと、衣服を整えて教室を出ていっ

た。

 廊下を早足で歩いていく足音を聞きなが

らベルトを締め直した野坂が口を開く。


「だけどよ、ホントに岡本って高取の言い

 なりだよな。

 なんなんだろうな、あれ?」

「だよなー。

 なんか岡本が高取を見る時って目が違く

 ね?」

「やめろよ、気色悪い」


 はやし立てる声で言われるのはもちろん

嫌だが、今のように真顔で言われたからと

いって気持ち悪さが軽減されるわけではな

い。

 高取は不機嫌を丸出しにして吐き捨てる。

 いつもならそこで空気を察して引く悪友

達だが、野坂と尾山はお互いに意味ありげ

な目配せをした後でさらに言葉をかけてき

た。


「でもよ、マジでなんか違うんだって。

 お前らって本当に“そういう関係”じゃ

 ねーの?」

「…殴られたいのか?」


 低く唸るような声で睨むとすくんだよう

に尾山は口を噤む。





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あきゅろす。
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