悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * その日は部活も休ませてもらって急いで 帰ってきた。 そもそもの拾い主 秋月と一緒に。 家に帰りつくと、子猫は小さく丸まって 寝息をたてていた。 空気のわずかな揺れに気づいたのか、眠 っている子猫の耳がぴくぴくと動く。 それに気づいて秋月と二人、声を潜めて 笑いあった。 小さな体が呼吸の度に上下する。 お腹いっぱいになって安心しきったの か、それとも食べ物の夢でも見ているの か、その寝顔はどことなく笑っているよ うに見える。 小さなぬくもりが今目の前で鼓動を刻 んでいることが一つの奇跡のようだ。 ふわふわな天使みたいだ、と秋月は言 う。 オレもそう思った。 この天使の前でなら素でいられる。 きっとオレでも私でも関係なく懐いて くれて甘えてくれる。 かつて家族だった愛猫チャコがそうだ ったように…。 [*前][次#] |