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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「こ、こんな店来て大丈夫なのか!?

 なんかすっごく高そうなんだけどっ…」

「ランチやし大したことあらへんよ。

 今日は全部俺のポケットマネーやから気

 にせんと楽しんでや」


 屈託なく笑うクロードが異世界の人間に

思えた。

 どういう金銭感覚なんだと思ったがあの

黒い高級車を思い出せば、このくらいの店

は当たり前なんだろうかと冷や汗が流れ

る。

 ランチに並んだ食材は俺の予想通りで、

サラダ仕立てのズワイガニと季節野菜のム

ースやオマール海老と真鯛のフリカッセな

んかが綺麗に盛り付けられて次々とテーブ

ルに並ぶ。

 テーブルマナーなんてよくわからないか

らクロードの手元を見ながら真似するだけ

で神経をすり減らして、正直美味しかった

のかそうじゃなかったのかもわからなかっ

た。


 …もったいない。

 いや、やっぱりこんな高い店は俺には合

わないんだと思う…。
  

 母さんの料理が恋しい…と思いながら牛

頬肉のトマト煮込みの最後の一切れを口に

運ぶ。

 柔らかい肉は甘い肉汁を口いっぱいに広

げながらほとんど噛まずに溶けてしまう。

 でも味がしない。

 美味しいと思えない。

 緊張しすぎて味覚がおかしくなってしま

っている。

 きっとすごく美味しいんだろうに勿体な

い…。





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