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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 丁寧に淹れられたんだろうコーヒーに口

をつけていると、ウェーターが測ったよう

なタイミングで最後の皿を運んできた。


「当店オリジナル、ブッシュ・ド・ノエル

 でございます。

 3種のベリーと赤ワインのゼリーは当店

 シェフからのサービスにです。

 よろしければお召し上がりください」


 トナカイとそりをイメージしたブッシュ

・ド・ノエルだけでもそこそこ量があるの

に、透明なグラスに盛り付けられた赤いゼ

リーはサービスだとか言われる。

 もう一口口に運ぶのも怖いんだが、出さ

れた以上は食べなくても料金は発生してい

るわけで…。

 いっそ出すのはクロードだからと割り切

れたらいいんだろうけど、骨の髄まで庶民

な高校生としてはこの金銭感覚はもはや恐

怖だ。

 トナカイの形のホワイトチョコレートを

のせたノエルが目の前に置かれる。

 
「なんや、食べへんの?

 さっきから口数少ないし、スケートでそ

 んなに疲れたん?」


 すでに食べ始めたクロードがきょとんと

こっちを見てくる。


「緊張しすぎて味わかんない…」


 恥ずかしいのを我慢して本音を漏らした

らクロードが笑い飛ばした。


「緊張せんでええよ。

 さっきから手元ぎこちないと思ってたけ

 どテーブルマナー気にしてたん?

 なんなら手掴みで食おか?」

「意地悪…」


 店に入った時からまったく違和感のない

クロードがフォークを置いてケーキを手で

掴もうとするのをじと目で睨んでからロー

ルケーキを一口口に運んだ。

 軽くて甘すぎないクリームが舌の上であ

っけなく溶けていく。

 見た目はボリュームがあるけど、これな

らなんとか二人で食べきれるだろうか。





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あきゅろす。
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