悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
フェロメニアが俺の暮らしている屋敷の
地下に一時期幽閉されていたことがあっ
た。
…上から数えて何番目の兄だったかは忘
れたが、変わり者がいた。
その兄がどこでフェロメニアの存在を嗅
ぎ付けたのかは知らないが、皆が揃う席で
突然立ち上がって父上に抗議した。
“俺は反対です!
あのフェロメニアが俺達のうちの誰に害
をなしましたか!?
俺達の中の誰に不利益をもたらしました
か!?
何も…何もしていないでしょう?!
今すぐフェロメニアを解放するべきで
す!”
酔狂かと思った。
人間は餌だ。
それ以上でも、それ以下でもない。
フェロメニアは少しばかり珍しく、交渉
材料になるほど美味なだけ。
自分だって今まで数多の人間を喰ってき
た身でありながら、今更何を…と。
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