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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 今までの自分はなんだったのだろう。

 今までの努力も、いつか結果になると信

じてきた希望も。


 人間でもなく、淫魔でもなく、半端な存

在。

 どちらにもなれず、どちらにも属せない

ならば、これからどうやって生きればいい

のか。



 …もうどうでもいい。

 どうせ滅びるなら、今この瞬間に地球ご

と滅びてしまえばいい。

 全て消えてなくなってしまえばいい。

 跡形もなく消え去って、塵になってしま

えばいい。



 自分が目を閉じて眠っている間に全て消

えてなくなってしまえ…。


 絶望に全てを投げ出して目を閉じると、

疲労していた体はうつらうつらと微睡み始

めた。


 ギシ…


 背を向けている二段ベッドの階段の軋む

音がして沈みかけていた意識が浮上する。


 誰なのか知らないが起こさないで欲しい

…無視をして再び瞼を閉じようとしたら駆

の声が聞こえた。


「兄さん、ご飯の準備できたよ」

「………」


 今まで、家族だけは例外だった。

 家族だけは自分を自分のまま受け入れて

くれて、ありのままでいても認めてくれ

た。

 疎外感など感じたことはなかった。


 しかし…“可能性がある”と言った両親

に、心は擦り切れた。

 どれほど息子が傷ついたか、苦しんでい

るか、理解しようともしないで、自分にも

非があるかもしれないと…そう言った。

 その可能性が0でないというだけで。


 “あぁ、所詮は理解できないんだな”


 そう思うしかなかった。

 片方は人間。片方は淫魔。

 どちらも自分の気持ちは理解できない。

 自分の苦悩も、孤独も。

 努力も、絶望も。






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