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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 駆は何を思うだろうか?

 今まで疎外感など一度も感じたことがな

いだろう、駆は。

 それとも駆なら…周りに溶け込める外見

である駆なら、人に混じって何不自由なく

生きていけるのだろうか…。


 短い沈黙の中で様々な考えが頭を過り、

駆の声には返事をしなかった。


 その口から何が紡がれるのかを考えた

ら、会話をしたくなかった。


 駆はその血の真実を知ったら何を思う

だろう?

 そして汚れた兄をどう思うだろう?

 それは知りたい気もしたけれど、知りた

くもなかった。


「兄さんは…汚くなんかないよ…。

 汚くなんか…ない…」


 無視に打ちのめされてダイニングへ戻る

と思ったのに、駆は背中の向こうで泣き始

めた。

 声が涙に濡れて震えている。


 …どういうことだ?

 両親が話したのか?全てを?


 動揺して、混乱した。

 
 まずは状況を確認しよう。


 どこかで冷静に判断する自分の声に背中

を押され振り返ったら、部屋の窓から入る

夕日に照らされて駆が泣いていた。

 言葉が出なかった。



 夕日の光が優しかった。

 零れる涙は夕日を含んで綺麗に光った。


 いや…きっと夕日がなくても綺麗だった

だろう。






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