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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「これで約束は果たしたからな。

 ちゃんと雨を降らせろよ!」


 口元を拭って立ち上がり、捨て台詞を残

して立ち去…ろうとした。


「何を言ってるんですか?

 ぼくがこの程度で満足するとでも?」


 ドンッ!


「った!?」

 洞窟の何もない空間に見えない壁が出来

たように歩き出した俺は間もなくそれにぶ

つかった。

 見えない壁につま先を打ち付けて足を止

めた俺の肩に龍神の手が触れた。


「供物が勝手に歩き回らないように。

 ほら、奥へ行きますよ?」

「いやだ!約束は果たしただろっ!?」

「果たされたと判断するのはぼくです。

 こんなものではまだまだ足りない…。

 雨を降らせて村を救ってほしいなら、そ

 れ相応の供物となることです」


 龍神の目には暗い笑みが浮かんでいた。

 眠ることが許されたのは空が白みかけて

からだった。


『そして翌日、龍神は“今から一時雨を降

 らせてきてやるから待っているように”

 と言い残して洞窟を出ていきました』


 い、今頃喋った!!

 おいっ、なんなんだよっ!

 さんざんな目に遭ったじゃないか!!


『でも願い事叶ったでしょ〜?』


 叶っ…そういう問題じゃないっ!

 こんなのまでつけられるしっ…!!


『青年の首には龍の姿が彫られた美しい首

 輪がつけられていました。

 しかしこれはピッタリと首にはまってい

 る上に人の力ではどうやっても外すこと

 ができません。

 青年が留守中に逃げ出さぬよう、龍神が

 残していったものなのです』 


 誰のせいだよっ!

 起きたらいきなりこんなのつけられてる

しっ!

 俺はこんなことしに龍神の棲み処までき

たんじゃない!!





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