悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
「雨乞い、ね。
人間は雨乞いの為に巫女を舞わせ、僕に
供物を捧げます。
雨を降らせて欲しければ僕を悦ばせてご
らんなさい。それが条件です。
もし逃げ出すようなことをすれば、一晩
で洪水を起こし村を壊滅させます。いい
ですね?」
いいですねって…脅しじゃないかっ!
龍神の声は歌うように軽やかで、否と言
われることなど皆無だと思っているに違い
なかった。
しかし洪水で押し流すという言葉が本気
なら確かに否なんて言えない。
「ほ…本当だな?
本当に雨を降らせてくれるんだな…?」
「えぇ。約束は守りますよ。
僕は神ですから。
人間のように嘘つきではない」
微笑む龍神の目に偽りの影は見えない。
覚悟を決めるしかなかった。
「は…初めてだから、上手くないかもしれ
ないけど…」
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