悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * 「雨乞い、ね。 人間は雨乞いの為に巫女を舞わせ、僕に 供物を捧げます。 雨を降らせて欲しければ僕を悦ばせてご らんなさい。それが条件です。 もし逃げ出すようなことをすれば、一晩 で洪水を起こし村を壊滅させます。いい ですね?」 いいですねって…脅しじゃないかっ! 龍神の声は歌うように軽やかで、否と言 われることなど皆無だと思っているに違い なかった。 しかし洪水で押し流すという言葉が本気 なら確かに否なんて言えない。 「ほ…本当だな? 本当に雨を降らせてくれるんだな…?」 「えぇ。約束は守りますよ。 僕は神ですから。 人間のように嘘つきではない」 微笑む龍神の目に偽りの影は見えない。 覚悟を決めるしかなかった。 「は…初めてだから、上手くないかもしれ ないけど…」 [*前][次#] |