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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「…ねぇ、恵。

 答えられないなら、答え合わせしてみま

 せん?」

「え…?」


 言い訳すら出てこない私を見下ろす莉華

の笑顔が怖い。

 これ以上ないほど上機嫌なのにその隙の

無さが際立っているからだろうか。


「だから答え合わせ、ですわ。

 恵があの山を指さしてどういうつもりで

 言ったのか、私がどういうつもりで言っ

 たのか答え合わせしましょう」


 ようやく莉華の腕が解けたものの、手首

を掴まれてベッドに促される。

 肩に両手を置かれてベッドの端に座らさ

れ、そのまま押し倒されてようやく鈍い頭

が今からされようとしていることを悟った。


「えっ!?ちょっ…!!

 無理だってば!

 答え合わせなんてしなくていいからっ!」

「じゃあ答え合わせさせて下さいな。

 恵は何のことを言ってましたの?」


 暴れてなんとか馬乗りになっている体の

下から抜け出そうとしたけれど、笑顔で問

われてまた言葉に詰まってしまう。

 でもまさか莉華が本当にそんな行為に及

ぶとは考えたくないっていう部分も少なか

らず、ある。

 だって…それができるっていうことは莉

華が本当に私をそういう目で見ていなけれ

ばできないだろうという思いがあった。

 キス…ならば、苦しいけれど冗談だと言

われれば流せる。

 けれどもその以上のことをする莉華なん

て想像すらできない。


「それからもう一つ、答え合わせしてほし

 いんですの」

「もう一つって…?」

「恵の本当の気持ち、ですわ」


 本当の、気持ち。

 言われてようやく理解した。

 莉華に今からされようとしていることに

嫌だとも無理だとも感じるけれど、でもだ

ったら何故キスだけは体が拒否しなかった

のかわからない。

 莉華のことは従姉妹だし幼馴染だと思っ

ているけど、それ以外の何かがないのなら

キスを受け入れてしまった理由がわからな

い。

 自分の気持ちがわからないから、戸惑い

ながら本気で抵抗できなかった。

 莉華はそれに気づいたのかもしれない。


「…嫌だって言ったら、やめてくれるの?」

「恵が本当に嫌がるなら。

 私だって恵に嫌われたくないですもの」


 確認の為に尋ねてみたら莉華は難なく頷

いた。

 ここまでしておいて私に嫌われるのが怖

いなんて、莉華はどこまでだったら私が許

すと思っているのかわからない。


「私は答えを知るのは怖いよ。

 だって答えを出してしまったら戻れない

 から。

 それでも答えを出さなきゃダメなの?」


 莉華は可愛い従姉妹だし、大事な幼馴染

だ。

 けれども答えを出してしまったら、たと

えどんな答えでももう戻れない。

 莉華の気持ちを受け入れられなかったと

しても今までのようには笑えないだろうし、

たとえ受け入れられたとしてもいつか離れ

る日がくるならそれが先延ばしになるだけ

だ。

 いや…本当は莉華が自分の気持ちを自覚

してそれを私が知ってしまった瞬間からそ

の運命から逃れることは出来なかったのか

もしれない。





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