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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 今は大人しく俺が淹れたお茶を飲んでく

れているだけで満足するしかなさそうだ。

 俺がクロードの傍にいて、カイルがクロ

ードの傍仕えをしている間は有り余るほど

接点があるだろうからゆっくり打ち解けて

…いければいいなぁ。


「あ、そうだ。なんか食う?

 お茶請けとかないのかなー」


 こんなにちゃんとした茶葉があるなら…

と思ってポット付近を探してみる。

 まだ夕食にはもう少しあるけど、雪遊び

のせいで小腹が空いた。

 しかし引出しやらを探ってみても緑茶の

茶葉と紅茶のTパック、挽く前のコーヒー

豆しか見つからない。

 しかし空腹というのは自覚してしまうと

気になってしまうもので、何かなかなった

かと考えを巡らせる。

 
「あっ」


 そういえばガムなら荷物の中に入ってい

たはず…と思い出して自分の荷物に駆け寄

る。

 目当ての物は程なくして見つかり、よう

やく緑茶を飲み終えたカイルの横に何食わ

ぬ顔で戻った。

 いちいち無視されたくらいで凹んでいて

はやっていけないと開き直ることにした。


「カイルも食う?」


 さっそく中から一枚取り出し、包装紙を

剥ぎながら問いかけたがこれもやっぱりス

ルー。

 口にくわえて何度か噛みながら少しずつ

板状のガムを口の中に入れていくと、ミン

トの味が広がる。

 これで少しは空腹感も紛れるだろう。


「カイルってば」


 返事をしないどころかこちらを見ようと

もしない。


「もしかしてミント味嫌いとか?」

「違う」


 即答したくせにこっちを見ない。

 手の中のガムを持ったままちょっと考え

て、俺はおもむろにもう一枚取り出しても

つ部分以外の包装紙を丁寧に包剥いだ。


「はい、あーん」

「っ!?」


 板状のガムをその口元に差し出すとカイ

ルがギョッとした顔をする。


「嫌いじゃないんだろ?」

「欲しいなんて言ってないだろっ」

「いらないとも言わなかったじゃん」


 ガムくらい受け取ってくれればいいのに

…という気持ちがちょっと意地悪なことを

言わせる。

 やっぱり無視するのはいけないと思う。

うん。





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