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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 気が収まらないのか立ち上がる俺を「疫

病神っ」と視線で突き刺してくる。

 そんなカイルを見てまるで野良猫のよう

だと思うのは俺だけだろうか。

 ベッドから毛布を剥ぎ取って戻ると、ま

だ俺を睨んでいるカイルの膝に掛ける。

 今度は何のつもりだと訝しむカイルに苦

笑いを浮かべるしかない。


「クロードが戻るまででいいから、それで

 温まっといて。

 …ホント、悪かったって。

 もう巻き込まないようにするから、そん

 なに俺のこと警戒するなよ」


 しかしカイルに詐欺師かペテン師でも見

るような目で見られてしまう。


 どれだけ信用ないんだ、俺…。


 嘘をついたり騙したことなんて一度もな

いのに。


 あ…そう言えば一度だけついたな、嘘。


 考えながら思い当たってしまっては苦い

笑みが浮かべるしかない。


 そういえば保健室から脱出するのに腹が

減ったと言ってカイルを部屋の外へ行かせ

たんだった。

 ほとんど口を聞いていない俺の為に本当

にパンとジュースを買ってきてくれたんだ

と知ったのは後のことで…。

 それなのに俺がいなくなったせいでクロ

ードから責められたことも知ったのももう

取り返しがつかなくなってから。

 カイルの性格を考えれば、きっと一言も

言い訳しないでクロードの気が済むまで耐

えたんだろう。

 そう思うと自己防衛だったとはいえ、や

はり心に刺さるものがある。

 カイルは悪くなかったとクロードに訴え

てみたこともあったけれど、“それが仕事

やろ”と言ったきり相手にしてくれなかっ

た。





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