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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 あ…ハーブティの方が良かったのかな。

 カイルは向こうの人だし。


 馴染がないよりあるもののほうが安心す

るかもしれない…と気づいたけど淹れ直す

のも気が引ける。


「カイルはグリーンティって嫌いだっ

 け?」

「……別に」


 …つまり飲まないのは単に俺が淹れたか

らか。


 珍しくカイルが促さなくても答えてくれ

たけれど、カップをチラリとも見ないのは

つまりはそういうことだと言いたいのか。


「この茶葉美味しいし、体も温まるから飲

 めばいいのに」

「俺がここに居るのはクロード様の命があ

 るからだ。

 お前と慣れ合うつもりはない」


 あくまでも事務的に言いきるカイルの表

情からはおおよそ人間らしい感情は読み取

れない。

 しかしクロード相手には一切敬語を崩し

ているところを見たことがないし、それだ

けでもちょっと近いような…いや見下され

てるだけだろうけど。


「じゃあクロード呼んでくるよ。

 早く温泉に浸かってあったまったほうが

 いい」


 湯呑を置いて立ち上がろうとしたらガシ

ッと力強い手に引き止められた。


「やめろ。余計なことは一切するな。

 お前が関わるとろくなことにならないん

 だ、疫病神っ」


 まるで憎い仇でも見るような目で睨まれ

るが、まぁまったく身に覚えがない訳じゃ

ないので苦笑いを浮かべるしかなくて。

 仕方なくストンと腰を下ろすとカイルの

手が離れ、まったく触れられてもいないカ

ップをチラリと見る。


「じゃあ…せめて、それ飲んでほしいんだ

 けど?

 できれば冷める前に」


 さすがにこんなに顔色が悪いのに何もし

ないで見てるなんて出来ない。





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