悪魔も喘ぐ夜 * 月明かりの下で、その怒りさえ浮かばな い氷の視線が寝起きの俺に突き刺さる。 「なんの真似ですか、これは? そんなに見せつけたいんですか、駆が喘 いでいるところを」 兄貴が何を言っているのか寝起きの頭で は理解できない。 でもとにかく“どうにかしないとまず い”というのは確かで、無理矢理体を起こ した。 「ただ…寝てただけだろ? なに怒ってんだよ…」 「ちゃんと言ったはずですよ。 僕以外の人間がこの体に触れるのは許せ ない、とね」 「くッ…!」 いきなり手加減なしの力で胸の突起を捻 り上げられて喉がひきつった。 「…いいでしょう。 お望みどおり、見せつけてやりましょう か」 麗の無邪気な寝顔を見下ろす目はまさに 冷徹な鬼の形相で、俺が止めようと発しか けた言葉すら奪うようなキスに吸い込まれ てしまう。 [*前][次#] |