悪魔も喘ぐ夜 * 「だけどぼく、お兄ちゃんが好きだよ」 「俺も好きだよ。 でも弟として、だ。 恋人としてじゃない」 暗闇の中で麗が今どんな顔をしているの かはわからない。 だけど間違いは正さないとならない。 「考えてごらん、麗。 ずっと一緒にいたいならいられるんだ、 兄弟だから。 たとえ距離が離れたって繋がりは死ぬま で消えない。 会いたいと思うだけでいつでも会える。 兄弟だから。家族だから。 でも恋人はそうじゃない。 すれ違って、喧嘩して、仲直りできなか ったらそれで終わってしまう。 それでも恋人がいいのか?」 「…どっちも。どっちもがいい」 「麗…。無理だよ。 わかってるだろ?」 子供っぽく見えても麗は中学生だ。 恋人がどういうものか位はうっすら解っ ているだろうに。 [*前][次#] |