[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜
*


「口ではどんなにイヤイヤ言うても体は正

 直やないか。

 甘い匂いは自覚できへんって言うてたけ

 ど、ココがこないになってる自覚はある

 やろ?」


 そう言いながらクロードは裏筋に指の腹

を押し付けたまま繰り返し手を上下させ

る。

 なんとか誤魔化せていると思っていた高

ぶりの頭が見る間に持ち上がっていくのを

見せつけられて思わず顔を背けた。


「っ、クロードが早く終わらせないからだ

 ろっ」

「早う終わらせなあかん理由なんてないや

 ろ?

 駆がその気になってしまうんが怖いから

 早う終わらせてほしいだけやろ?」

「見るだけなのにどれだけ時間かけてんだ

 よっ。

 それに変な触り方すんなっ」


 半ば自棄になって言い放つ。

 見るなら見るでさっさとしてくれたらこ

んなことになっていない。

 クロードだってその気になればさっさと

見るだけ見て終わらせられるはずなのに、

なんでこうも俺の体を弄びたがるのか。


「罪作りやなぁ。

 自分がどれだけ甘く香ってるんかも知ら

 んくせにそんなこと言うん?」

「そんなの知るわけない!

 もう充分だろっ。

 俺帰る…っ!」


 散々自分で弄んでいてそんなことを言う

ことのかと思ったら長居しちゃいけない気

がしてきて、上げていた腰を落としてベッ

ドから降りようとした。


「まだ一番大事なところのチェック終わっ

 てへんやろ。

 このまま帰るんやったら、駆が約束反故

 にしたと思うけどそれでええか?」

「……っ!」


 腕を掴んで引き止めることもなく涼しい

顔をしてそう言うクロードの目は、俺がこ

の場を放り出していけないことを充分理解

していた。

 曲がりなりにも“駆がそう言うんなら”

と悪戯を止める程度には約束を守る気はあ

るのに…という言い分を通すつもりなのか

もしれない。


「クロードが見るだけって言いながら変な

 事するからだろっ。

 俺は別にやましいことなんて何もしてな

 いのにっ」


 クロードがどこまで本気で悪戯するつも

りなのかは分からないけど、いくら言葉を

重ねたところでクロードが納得する形の証

明をして見せなければ納得しないだろう。

 それは諦めるにしかないにしても、せめ

てクロードの悪戯は最小限に抑えさせない

といけない。

 クロードが甘いと感じる匂いを兄貴が見

逃すとは到底思えないから。





[*前][次#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!