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悪魔も喘ぐ夜
*


「俺の気持ち全部無視して何が話し合いだ

 よっ!

 本当にちゃんと聞いて欲しかったら、携

 帯も鞄も服も全部返して、日を改めて出

 直すくらいしろよっ!」


 悔しい、悔しい、悔しいっ…。


 なんでこうも俺の気持ちはあっさり無視

されるのか。

 どんなに嫌だと思っても快楽に流される

しかない体を誰も彼もが好きなように貪っ

てなけなしのプライドもなにもかもを毟り

取っていく。

 こんな目に遭うなら、こんな体質いらな

かった。

 どうせこの体にしか興味はなくて、俺の

気持ちなんて本当はどうでもいいくせに何

故こんな拉致まがいのことまでされなけれ

ばならないのか。

 さっきの電話だって、本当に俺をことを

考えてたらあんなこと言わなかっただろ

う。

 俺の気持ちなんてどうでもよくて、ただ

物として扱っているからこんな傍若無人な

ことができるのだろう。 

 こんな体質、捨ててしまいたい。

 なんでこんな厄介な体で生まれたのか。

 
「そんなことしたら、あのせっまい小屋み

 たいな家の中から出られへんまま干から

 びるまで生気吸われてまうやろ。

 俺がここへ連れてこおへんかったら、あ

 のまま死んでたかもしれへんで?」


 非日常的な単語が飛び出すのが信じられ

なくてキッと視線に力を込める。


「勝手なこと、言うなっ!

 クロードのほうがよっぽど危ないじゃな

 いかっ!!」

「俺はあんなになるまで吸わへんよ。

 歩くだけでフラフラで俺の腕の中に倒れ

 込んできた時、どんだけ体温下がってた

 か自覚ないんやろうけど…。

 顔色真っ青でそのまま死んでまうかと思

 ったわ。

 ようやく血色戻った矢先に、また自分か

 ら死にに帰ろうとするん?」


 そっと頬を撫でる手を叩き落としてやろ

うと思ったけど、本当に心配そうな顔が見

降ろしてきていて思い留まる。

 ぐっすり眠ったせいかどうかは分からな

いけど、確かに足元のフラつきはなくなっ

ているし体の辛さもだいぶ楽になったよう

な自覚はある。





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あきゅろす。
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