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悪魔も喘ぐ夜
*


 ……えーと?


 状況の把握ができない。

 ここはどこなのか。

 なんで着替えたはずの服じゃなくバスロ

ーブみたいなのを着ているのか。

 なんでクロードに抱きしめられているの

か。

 何一つ分らない。


 えっと…寝る前に俺何してたんだっけ?

 目が覚めて、体がものすごく辛くて、そ

れで…。


 手繰り寄せた記憶の糸が途中でぷっつり

と切れている。

 と、いうことは…。


 結局、気を失ったのか…。

 自分から出てってこんなことになるなん

て…。


 情けなくて頭痛がしてくる。

 でもここでクロードが呑気に寝ていると

いうことは、少なくとも家族に危害は加え

ていないんじゃないだろうか。

 …そう願いたい。


 とにかくクロードに返してもらっていな

い鞄を探して家に電話しないといけない。

 昨日の今日でまたいなくなった俺を探し

て走り回ってるんじゃないかと思うと申し

訳ないし、家族の安否も確認したい。


 なんとか起こさないように腕を解いてそ

っとベッドを抜け出す。

 温かみのある色で統一された広い室内は

なんだか生活感がない…というか綺麗に整

いすぎているな、と思っていたら固定電話

の横に置かれていたメモ帳の隅にホテルの

名前。


 ホテル…?!

 ホテルの一室にしては広すぎないか。

 さっきのなんかやたらと大きいベッドだ

ったし…。


 とにかく鞄が先だと室内をジロジロ見て

しまいたくなるのを抑えて探していると、

ソファに置かれたクッションの影に隠れる

ようにして置かれていた。





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あきゅろす。
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