悪魔も喘ぐ夜
*
「…人の家の玄関先で何をしているんです
か」
もう夜になろうと赤が消えかけた空の下
で静かな声が響いた。
その声に弾かれたようにそちらを見る。
「兄貴っ!」
張りつめていた思わず緊張が思わず緩
む。
いつもと変わりないその姿を見るだけ
でこの状況を何とかしてくれそうな根拠の
ない安堵が胸に広がった。
「お説教は後でたっぷりしてあげます。
覚悟しておくんですね、駆」
クロードを警戒しながらも歩み寄ってき
た兄貴のそんな心強い言葉に思わず顔が緩
む。
そんな俺を兄貴はチラリと咎めるように
見て、持っていた鞄を俺の胸に押し付けて
きた。
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