悪魔も喘ぐ夜
*
「話をする気がないならもう帰ってくれ
ないか。家族も俺を探し回って心配し
ていたし」
「あー、悪かったて。
そんなに拗ねんでもええやん。な?」
あくまで俺の話を聞いていない態度にム
ッとして、近づいてきて抱きしめようと伸
ばしてきた腕をかわした。
「………そないに怒ってるん?
勘忍してや。悪意はなかってん。
ただ駆がめっちゃかわえかったから、
離したくなかってんもん」
「何度も…何度も、何度も頼んだのにっ」
眉尻を下げて困り顔のクロードをそんな
ことで許してやるかと睨みつける。
「…駆がかわええからめっちゃ譲歩してん
けどなぁ、俺。
その気になったら駆を攫って監禁するく
らいわけないで?」
さらに一歩踏み出してくるクロードの手
から一歩退いて逃げる。
今、その手に捕まるのは危険だ。
本能がそう警告していた。
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