悪魔も喘ぐ夜
*
クロードは昔からこうだっただろうか?
いや、俺をどうこうしたいなんて言うの
は兄貴と麗だけだったはず…。
「クロード、お前は一体…」
知っているはずの相手のことが分からな
いような、あるいは知らないはずの相手の
ことを知っているような…今まで感じたこ
とのない種類の混乱が俺の頭の中に渦巻い
た。
「混乱しとるん?
俺が誰なのかもわからなくなってもー
た?」
俺の動揺を見透かすように目を細めてク
ロードは哂う。
クロードが一歩踏み出してきたので思わ
ず一歩後ろに退いてしまう。
背中が家の門にぶつかり、それ以上後退
ができないことを俺に教えた。
「やっぱり、血が近いといろいろ不便やな
ぁ。勝手がわからへん」
獲物を追い詰めた獣の目でクロードは俺
の顎を掴んだ。
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