悪魔も喘ぐ夜 * クロードは昔からこうだっただろうか? いや、俺をどうこうしたいなんて言うの は兄貴と麗だけだったはず…。 「クロード、お前は一体…」 知っているはずの相手のことが分からな いような、あるいは知らないはずの相手の ことを知っているような…今まで感じたこ とのない種類の混乱が俺の頭の中に渦巻い た。 「混乱しとるん? 俺が誰なのかもわからなくなってもー た?」 俺の動揺を見透かすように目を細めてク ロードは哂う。 クロードが一歩踏み出してきたので思わ ず一歩後ろに退いてしまう。 背中が家の門にぶつかり、それ以上後退 ができないことを俺に教えた。 「やっぱり、血が近いといろいろ不便やな ぁ。勝手がわからへん」 獲物を追い詰めた獣の目でクロードは俺 の顎を掴んだ。 [*前][次#] |