悪魔も喘ぐ夜
*
「…立てますか?
どうしてもそのまま帰ると言うなら、
その足で歩かないと帰れませんよ?」
「っ…」
誰のせいだよっ
キッと立ち上がって手を差し出す兄貴を
睨んだ。
正直に言えば、まだ下半身が熱い。
股間が膨らんでいないか心配だったりも
する。
一度放ってしまえばあっさり引く体の熱
も、それを我慢すれば溶けた水飴のように
しばらく体にまとわりついて離れない。
こんなものを自分の体内で作り出して、
体中に巡らせながら平然と生活できるな
んて、淫魔はやっぱり人間じゃないんだ
ろうと思った。
ずっと座り込んでいたせいか、立ち上が
ろうとしてフラついた。
「わっ…」
ドサッ
ギュッと目を瞑ったけれど体は床に触れ
ることなく、しっかりとした腕に抱き止め
られていた。
「ほら、大丈夫ですか?
だから言ったのに」
意地悪くクスクス笑うから、お礼を言う
気も失せて兄貴を押しのけて歩き出した。
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