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悪魔も喘ぐ夜
*


 ようやく口を割った俺に母さんはさらに

かぶせる。


「でも駆…それだと二人から聞いた話と矛

 盾するわ。

 秀はあなたが誘ったと言ったの。

 麗はあなたを守りたかったって。

 結局、どれが正しいの?」

「…多分、どれも正しいよ…」


 俯いたまま静かに答えた俺に、母さんも

父さんも戸惑って顔を見合わせているよう

だ。


「兄貴は…時々怖いことを言うんだ。

 まるで…兄貴じゃないみたいな。

 でもやっぱり兄貴で…。

 その兄貴が、俺を好き勝手して、それで

 気が済むなら…“家族”としていられる

 なら、それでいいやって…」

「駆、それは…」

「わかってるよっ!

 わかってる…言われなくたって…」


 聞きたくなかった。

 “それは何の解決にもならない”

 分かっているから。

 他の誰よりも、俺自身が分かっているか

 ら。

 兄貴の望みに応えれば応えるだけ、兄貴

は堕ちていく。

 だけど…


「でも…他にどうすればいいのか、わから

 ないんだ…っ」


 声を、気持ちを、絞り出す。

 今まで誰にも言えなかったことを。





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