星屑の在り方
(月姫/七夜)抜け出せない言葉の罠
今此処に、偽りの契約を→諦めるのも一つの解決策・続
「────────────────七夜」
「お呼びかな、我が麗しのご主人様?」
「その呼び方は止めろ、寒気がする」
「桑原桑原……、俺の愛しき姫君は大層お怒りのご様子であらせられる。
だが、君がそう言うなら了解しよう、それが主人からの命であるなら使い魔はそれに従うまでだ」
「…………その芝居掛った喋り方、なんとかならないものだろうか」
「それは無理な注文だザビ子。これは無意識下に行われる一種の癖みたいなものでね、治せと言われて安易に治せるものじゃないんだ」
「……そうか。ならば仕方あるまい、この際我慢するか────だが七夜、また今日も出歩いたろ。
深夜徘徊はよせと言った筈だが……」
「申し訳ないが深夜徘徊は俺の唯一の趣味だ、奪わないでくれ」
「私の魔力を無駄にしてまで行う価値のある趣味なら構わない、だが。
いいか、お前のソレは魔力を無駄にするだけじゃないか」
「そんなに俺に不満があるのかい、ザビ子?
なら、さっさとこんな契約は破棄した方が良いんじゃないか?
主の命令を聞かない使い魔なんて、契約するだけ無駄だろうに……魔力が勿体無いのだろ?」
「────────それ、は……っ」
「なんだ、言ってみろよ────────ザビ子……?」
「……ッ……耳元で無駄にエロい声出ないで欲しいんだけど!?
私が、七夜との契約を破棄する訳、ないじゃないか、察しろばかっ!!」
「素直に言ったらどうなんだ、“ご主人様”?」
「……っ、煩い、使い魔の分際で私に意見するな。手を離せ、この痴れ者がっ!!」
「桑原桑原。その殺気はとても好ましいが、その潤んだ眸だけは気に入らない……。
そうだな、『俺を手放したくない』と言ったら、離してやらないでもないが?」
「誰が言うか!!!!」
「そう固くなるなよザビ子。そんな初々しい反応を見せられると歯止めが効かなくなる。
……しっかし、苛め甲斐のある主人で良かった、頭の固い奴だったら塵芥にしている所だ」
「……………………魔力の配給、断つ事って出来ないだろうか……」
初めて遭った時から、貴方を欲していた。
「やれやれ……随分と可愛げの無い“ご主人様”だな」
「顔が近い、息が掛かる、直ちに離れろ、この色魔が!!!!」
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