星屑の煌めき
(復活/犬)傷痕だけを残して
「犬、バブリシ○スの新商品出てたから買ってみた」
「マジっすかー、うっひゃ『めかぶ梅しそ味』とか未知の味れすね」
「だろう。だから1人一個ずつ買ってきた、ので、後で千種くんと六道にも分けるように」
「さんきゅー。ってあれ、ザビ子もう帰るんれすか?」
「ん? まあ、渡したいの渡せたし……もう用はないから」
「もちょっと遊んでけばいーびょん! 今だっれも居ねーからオレ暇れしょうがねーびょん!」
「うわっ、とと……急に抱き付いてくると危ないよ犬、バランスを崩して倒れる所だったぞ。負んぶ状態はちと辛い」
「ごっめんびょ〜ん。それにしれもザビ子っれちっせーびょん」
「ぬぉ、貴様、人が密かに気にしている事をよくも……!!」
「抱きつくには丁度いいサイズれふ、ザビ子はこれくらいれ丁度いいれす」
「そうかいそうかい。分かったから取り敢えず犬、離れてくれ。地味に重いンだよ、君……。
────ガリガリの見掛けによらず体重あるんだな、男の子してるわ」
「ザビ子が軟弱なんれす、もちっと鍛えろびょん」
「六道曰く私の筋力はこれ位で丁度よいそうだ。……ボコボコにしたら泣かれたし」
「骸さんになにしれんすかザビ子!?」
「え、だって。急に押し倒されて服ん中に手ぇ突っ込んできたから殺しても良いよってサインと見做して男のプライドをベッキベキにへし折って差し上げたまでだ」
「ザビ子もなにしてんらって言いたいんれすけろ、一番なにしれんすか骸さんアンタ!!」
「あれはビックリした…………いやなに、男の子として生きていく上での大切ななにかを粉砕したまで、命に別状はない。故に今もピンピンしているだろう。
あ、ポッケ弄ったらチョコレートみーっけた。はい犬あーん」
「ん? あ〜ん」
「そ〜れ、ほいっ!」
「あ〜むっ。んむんむんむ…………甘い、さんきゅう」
「よーし、そのチョコレートをあげたんだからいい加減に私を離してくれないかな、いつまで抱き付いてんのさ、君……」
「いやびょーん。らっれザビ子帰るっれ言うんらもん、オレに構えびょん」
「うわ、私の頭の天辺に君の顎を乗せて喋るな、地味に痛い痛い痛い〜!」
「うりうりう〜り、ザビ子が“帰らない”っれ言うまれ止めねーびょん」
「いだだだだだだ…………っだー、分かった! もう少しだけここに居る、だからそのグリグリ止めろぉおぉ……縮むー!」
「よっし、言ったな、遊ぶびょん!」
「っ子供か、この子…………ほう、やっと解放された。意外と犬って力強い、焦った……やっぱ男の子してるわな」
「オレこの間新しいガム買っらんら、ザビ子も一緒に────」
「────只今帰りました。留守番ご苦労でした、犬……おや、ザビ子も居らしてたのですか」
「お、六道か。お帰り、お邪魔しているよ」
「骸さん……お帰りなさいれす」
「クフフ……その口振りからすると僕に帰って来て欲しくなかった様ですね。
────ザビ子と二人きりの時間を邪魔されて面白くない……という顔をしていますよ、犬」
「そんな訳ねーす。骸さんにこびり付いてる血の匂いに引いたんれす」
「そうですか……クフフ」
「? 犬も六道も、何をコソコソ話してる……悪事でも働く算段でも企てているのか?」
「申し訳ありません……客人を置いてけ堀にするとは礼儀がなってませんでしたね。
すみませんでした、ザビ子には聞くに堪えない話だったので……お耳汚しも甚だしいと思いまして、ね」
「そう。それより骸、君にもこのガムをあげる。ほら」
「これはこれは……有り難う御座います、ザビ子」
「……なっんか、つっまんね〜」
「? 犬、どうした急に大人しくなって、腹でも減ったか?」
「そうじゃねーびょん……ザビ子、ちょっとこっち来るびょん」
「? 犬の居る方向に行けばいいのか?」
「おやおや……? これは犬に春到来、ですかね」
「来たぞ。ホントにどうした、腹が究極に減ったのか?」
「ちっげぇびょん、そもそも腹減ってねぇびょん────ほうっ」
「うわっぷ。今度は前から抱きつかれた……ホントどうしたんだ、今日は随時と甘えただなぁ」
「────“コウモリチャンネル”」
「…………ッ!!?? いッッだ!!?? ちょ、なに、咬んだのか今!?」
「おや。これは……所謂下剋上、という奴ですか、犬」
「ちょっと犬痛いだろ、なにすんだ急に!! いきなり首筋噛んだらダメだろ!
いや許可取ってもダメだけど、とにかく噛んだらダメだ! 私が痛いのは駄目だ!」
「ザビ子、ごめんびょん……れも、俺、これらけは譲れねーんれす」
「んぅ? なんの事だか良く分からんが……とりあえず、急に噛んだらダメだからな、然もわざわざ歯ァ取っ替えるなんて、もうなんというか……溜め息しか出ないよ」
「クフフ、大丈夫ですかザビ子? 傷の手当てなら僕に任せて下さい、痛くしないですよ」
「大丈夫れす骸さんの手を煩わせる訳にはいきません、俺がやったんらから俺が手当てするびょん」
「……犬。お前もなかなか強く出ましたね」
「……骸さん、こればっかは譲れねーんれす」
「……なんか邪悪なオーラを二人からひしひしと感じるんだが…まあ、とりあえず手当てをしてくれ、首元は見えないから自分じゃ出来ないからさ」
証を残して。
「……ザビ子、それどうしたの」
「お帰り千種くん。さっき犬に咬まれた」
「…………ふぅん。ああもう、なんか全部がめんどい」
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