極楽蝶華
2
「……ホントだよ……。」
抱き抱えたまま、ソファに押し倒した。
少し抵抗されたけど、無視。
キツク抱き締めて耳たぶに口付けたら
まだ乾いてない髪から、マリン系のフレーバーのシャンプーの匂いがした。
違う、俺が欲しいのは……お前の、食っちまいたくなるような甘ったるい香り。
啄んだ首筋、舌先で掠めた肌にその味を感じて安心して
再度抱きしめて、瞼の上に口付けた。
泣かしてゴメン。
『……お前と、キスしたかったから。』
肘で上半身を支えて、上から顔を覗き込んで。
やっとの事で搾り出した声は、囁きよりも小さくて。
情けねぇくらい震えてた。
「答えになってねぇだろ……」
赤くなって、目を伏せる悠紀仁。
……可愛すぎだろ、これ。
『嘘ついてでも、お前とこーゆー事……したかった。』
「……どんな事だよ。」
『キスとか、寝っ転がって抱き着いたり。』
「……何で。」
『キスも、撫でてもらうのも、抱き着くのも、全部気持ちイイ。
お前限定で。』
「……だから、何でだって……。」
『……き、決まってんだろ。
……ッおま、お前が好きだからだよ。騙して、嫌われるとかそこまで頭が回らなくなるくらい、好きなんだよ。お前が。』
言っちゃったよ。
言っちゃいましたよ俺。
脱力して、そのまま無言で悠紀仁に覆い被さり、体重を預けて抱きしめた。
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